サラ・ムーン、イームズ

祇園何必館という美術館でサラ・ムーンという写真家の展覧会が開かれている。わたしがサラ・ムーンのことを知ったのはやはり2年くらい前にあった何必館での展覧会に友人が訪れたのにつきあった時から。彼女の写真はモノクロームでムードがあり、たとえば、写真絵本「赤ずきん」からの作品などは、現代における赤ずきんとはこういう感じだな、と思わせるような、新解釈であやうく美しい赤ずきんちゃん。その様子に楽しい刺激をうける時間を過ごした。

赤ずきん (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)

赤ずきん (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)

で、今開催中の展覧会は、今月の23日まででひょっとするといけないかもしれないのだけど、なんかサラ・ムーンへの関心が高まって、彼女の撮った「ミシシッピー・ワン」という映画をみてみた。こちらもモノクローム永遠の少女もの、というかんじ。大きなたよりない男と少女という組み合せは、「シベールの日曜日」にそっくりだな、と思ったり、古びた遊園地の風景にもすでにどこかにあるイメージの再現のような気もちょっとしたのだけど、なかなか好きな映画だった。
実はとっても大事なキーになるシーンの意味を最初認識せずにみていたもので、「シベールの日曜日」よりあやしいものを感じることが多かったのだけど、後で解説を読んで、最初認識しなかった哀しさを、この映画から感じた。

写真出身の人が撮る映画って構図などがとてもきまっているけれど、これも彼女の写真の世界がそのまま映画になった感じで、画面をみてうっとりする楽しみがいっぱいつまっていた。

ミシシッピー・ワン [VHS]

ミシシッピー・ワン [VHS]

もうひとかた、「映画も作っているんだ!」と思ったのが、イームズ夫妻。イームズというと「おしゃれなカフェにおいてある椅子の人?」というようなレベルの認識しかもっていなかったのだけど、映像分野でも世界的な評価を受けているよう。「EAMES FILMS」 という短編のたくさん集まったDVDをみたのだけど、イームズの椅子自体あまり知らない私でも充分そのデザインのすばらしさ、映像の楽しさを味わえるものだった。スタイリッシュすぎて無機質になっているということもなく、むしろその逆。イームズ夫妻の部屋のコレクションがコラージュ的にうつるシーンにも、日本の張り子人形、ちょうちん、こけしなどが、へんてこな解釈じゃなく部屋にとけ込んだ雰囲気ででてきて、イームズ夫妻にとっても関心をもった。DVDの中の作品で特に好きだったのが、おもちゃの汽車が走るものと、鏡で万華鏡を表現したもの。決してむずかしげな芸術でなく、わかりやすくて楽しい映像だった。

EAMES FILMS:チャールズ&レイ・イームズの映像世界 [DVD]

EAMES FILMS:チャールズ&レイ・イームズの映像世界 [DVD]

イームズのことを調べていたら、「超」整理術の野口悠紀雄さんの「超」整理手帳カバーのサイトにゆきついた。(こちら)。イームズ夫妻の妻の方、レイ・イームズデザインのファブリックを使ったカバーなんだけど、なかなかかわいらしくてすてきなデザイン。そして、ページの右の方にある「イームズを知るためのインターネット情報源」のコーナーは、とても充実。さすが野口氏!

★2008年5月、以前ココログに載せていた記事をまとめなおしているのだけど、野口氏のブログをみるとこのカバーを売っていたノグラボストアが2008年3月いっぱいで閉店したよう・・