愛の7日間

「ブルージーンズジャーニー」「男の出発」とディック・リチャーズ監督のさりげないのになんとも言えず心を掴まれる表現力に惚れこんでしまい、「愛の7日間」(1983)も。

賢い妻とかわいい少女たち、円満さを絵に描いたような英文学の大学教授がある日、若き日の出来事によって生まれた自分の子どもがおり、遺児になったことを知り。。という、スキャンダル的に消費されかねない題材で、そのハラハラ感でひきつけられられもするのだが、主要人物それぞれのありかたがみんな真摯でとても好感が持てる。渦巻く計算、体面、抑えようとしているのに漏れる感情(正も負も)、気まずさ、よろこびなどが過剰にならずにちゃんと表現され正解はないけれどそれぞれの正直な気持ちを見守るのが心地良い。

マーティン・シーン演じる大学教授が大学当局のリストラにあおうとしている、そのこともこの物語を動かしている。体制的に表面取り繕うことへの反発が彼の行動のあれこれを牽引している部分があり自然にみられる。

その昔某俳優の「不倫は文化」という言葉が切り取られ囃し立てられるといういかにもな出来事があったが、そのときそのときのどうしようもない感情、それを否定して表面を取り繕うのではない、不器用だけど真面目な向き合い、それこそがドラマであると私も思うなあ。

名前だけの知識のマーティン・シーン、「地獄の逃避行*1のあの清掃員だったか!