アンナ・カレーニナ

アンナ・カレーニナ」を二作品鑑賞

まずはグレタ・ガルボ主演 クレランス・ブラウン版。(1935)こちらはふや町映画タウンのおすすめ。

 

 

そしてジュリアン・デュヴィヴィエ監督、ヴィヴィアン・リー版。(1948)

他にもたくさんあるのだけどこの二つ、両方とも2時間以内だし長大な原作からエッセンスを拾って映画にしたものだろうけど多分デュヴィヴィエ監督のほうが原作寄りなんじゃないかと思う。アンナにとってよろしくない情報がさらっとだけど描かれ観ているこっちはちょっと冷静に彼女のことを観てしまう。元々の夫や恋に落ちる相手の言い分わかるなあなどと。

一番はっきりしているのはアンナの恋愛によって被害を被る妹の処遇。クレランス・ブラウン版ではすごくさらっとそういうこともあるなあくらいの描き方だけどデュヴィヴィエ版ではアンナの罪深さを感じる。夫との関係もこれでは夫も誤解するなというようなところも描かれ、アンナのその後も仕方ないよな、みたいな彼女の周りにいる冷たい世間みたいな気持ちで観てしまう。彼女の兄とアンナの夫との現実的なつながりなども描かれ、デュヴィヴィエ版は「恋愛という夢を見た女のはなし」という感じに比較的クールにまとめられているなあという感想。

クレランス・ブラウンの方はもう夫は厳格なばかりで、彼女に夢中になるヴロンスキーは優しいしで、ウディ・アレンの「ハンナとその姉妹」みたいな展開。子どももすごくかわいくて彼女をとても必要としていて悩むというのもわかりやすく、おはなしとして入り込める。迷わずアンナ側に立てるような設定になっている。なまじ原作に近づこうとした気配のデュヴィヴィエ版より映画としてずっと面白い出来になっている。結局は恋愛という夢を見た女のはなしであってももっと主体的に観るつくりに。ロシアの風物の表現も考証的にどうかとかはわからないが楽しいし、こどものおそれを表し、彼女が息子のことを思い出す壁にうつる影なども効果的。やはりこちらの方がおすすめ作品にあがるよな、という気持ちになった。