さかなのこ

 

のんをミー坊というさかなクンモデルの主人公にキャスティングしたところは大成功。

好きなことをとことんやらせてくれる母親と、一般的には普通といわれている社会そのものって感じの父親の間に溝ができてしまったんだなというところはさらっと表現、この辺はいい。いろんな枠から逸脱してしまうさかなクンモデルの主人公の姿を通してのフツウってなんだ?ってテーマもいい。のんはみてて気持ちがいいし。

本物のさかなクンが登場するあたり、お祭りムービー的なのかと危惧したが、最後まで観て、人はどんなに頑張っても個体としては必ず終わりがある。けれど、その魂を引き継いでもらうことはできる、というようなメッセージをさかなクン演じる男からミー坊に、そしてさらに下の世代にと描いているんだなとも。沖田修一監督作品、「モヒカン故郷に帰る*1や「横道世之介*2でもそれを感じた。そして、のんの澄み切った瞳の大映しにぐっとはなった。

全体的には少し長いかなとも思ったがゆっくりに感じてしまうテンポはあえてか?ある種群像劇でもあり、主人公の周りも成長していく姿は楽しい。特筆したいのは柳楽優弥、この人のおかげで映画の魅力がかなり高まっている。