モヒカン故郷に帰る

 

 「カルメン故郷に帰る*1を踏まえているんだろうな・・イヤな映画では決してないし、もたいまさこさんの姿に、ああこれから自分はこんな感じでやっていこうと思ったものの、内容が、都会で実家のことなどお構いなしにやってきた松田龍平が交際相手(前田敦子)の妊娠を報告に実家に帰り、そこで柄本明扮する父の病気を知り・・という話で、大学で都会に出かけて配偶者を得て以来(って大昔なのだが)自分のペースと親のペースの擦り合わせにいつも自問自答がとまらない自分にとっては、妙に考えさせられたり、ここで描かれているのは自分からみたらなかなかすばらしい最期なんだけど、家族に余裕がなかったらこんな風にはできないなあとマジメに考えてしまって楽しめきれなかった。多分基本男子というのはロマンチストで無責任だけど、女性の方がリアリストなので、介護に携わっている人が女性の「徘徊~」*2や「毎日がアルツハイマー~」*3で描かれている姿の方に共感をおぼえるのだろうな。あったかい雰囲気に乗り切れないというか・・ベタベタしたものでは決してなかったし、むしろ、親とのつきあい方なんかわかってない松田龍平ががんばってみたり、変ながんばりが柄本明に心の負担をあたえるところなどがリアルでおもしろいんだが・・今回身近過ぎて考え込んでしまったが、沖田修一監督のものの描き方は好きなのでこれからも続けてはみると思う。余裕がなければこうはできないなあと思う自分のような人に対し、最高の医療とかとは対極のこういう島の生き方の呈示というのもあったのだろうな。それがつきささってるのだろうな。島の産婆さんみたいな人のしゃべるシーンなどもとても味があった。

クライマックスシーンでの曲のいれかたはユーモラスでとてもよかった。監督自身も良すぎる話にしたくなかったし、そういう仕上がりなのだが、わたしの個人的に抱えている問題がこういう風にしなければならないのかとこの映画を楽しみきれなくしてしまっていたなあ・・どうも。