横道世之介

 

横道世之介 [Blu-ray]
 

原作*1を読んだとき、世之介が大学生活を送る年代や場所が自分と近くて感情が動きすぎたので映画をみるのを後回しにしていた。

映画の趣味に共感できる方々がほめておられるし、沖田監督、「キツツキと雨」や「フルーツ宅配便」での演出回もちょうどいい頃合いで楽したので、みてみた。

原作を先に読んでいるのでストーリーの流れはわかっているのだけど、それが尚一層味わい深く、大学生時代の描写でもこのあとこうなる、でもそんなこと関係なしに今を精一杯生きている世之介君、という感じでさらにいとおしく感じられた。

庵野監督の周辺の青春を描いた「アオイホノオ」でもそのあとどうなるかわかっていてそれでさらに楽しめたというのがあったけどそういう鑑賞の仕方ができたと思う。

胸がきゅんとするような成長物語だけどベタじゃなく、ユーモアとペーソスがうまくまざっている良作だ。

世之介が大学時代に出会うひとたちの、別に普通で輝いちゃいないんだけどやっぱり輝いている感じ、特にお嬢様を演じた吉高由里子の素敵なこと!一番最初に吉高さんをみたとき、蓮っ葉な役だったもので、この芸域の広さすごいなと思う。

主人公を演じた高良健吾もクールなかっこいい役をよくみていたのだけど、世之介のようなナチュラルでぼんやり素朴なひとにもなりきれるのだなあ。

大学時代の80年代ぽい空気もいとおしい。(今それを描くから80年代に作ったものをそのままみたときのリアルすぎていたたまれないというか、ちょっと恥ずかしくなるような感じは緩和されている。)

楽しい映画だったー!