伊賀越道中双六

大阪国立文楽劇場にて

朝からぶっ通しで文楽。しんどいかと思いきや、話にどっぷりひたれてすっきり理解できてよかった。はじめあらすじで読んでいるとなんか入り組んでいてわかりにくそうな話と思っていたが、舞台でみたら大丈夫。
ちょっと前に歌舞伎でみていた沼津の段*1は、あそこだけみていたら、お米がちょいと自分のカレシのことしか考えてない感じで平作がかわいそうだろう・・みたいな感想をちょっと持ってしまったけれど、通しで観たら事情がわかった。それと、蓑助さんの遣われた人形のお米が可憐だったというのも好感度をあげた。
また歌舞伎で沼津だけみたときは、あのあと平作はどうなるんだ・・と思っていたのだけどそのこともラストで描かれていた。
病気から復帰された住大夫さんには、本当に会場全体からあたたかい拍手、「待ってました」の掛け声。また、第二部伏見北国屋の段の英大夫さんと三味線の清介さんにも声がかかっていたが、私もこの二人のなにか落ち着いた感じがとてもいいと思った。舞台をみにいく楽しさはこういう客席の雰囲気の中にいれることも大きいな。


2部で入場するとき、勘十郎さんが描かれ昭和五十九年十一月公演で作製された双六を復刻したものを配ってもらった。(文字は先代の勘十郎さん)
赤川次郎さんの文楽の本*2でも勘十郎さんの挿絵すごいなと思ってみていたけれど、よい絵だな。(全体像は江戸の双六って感じでもっとよい。。)
勘十郎さん今回は、二回とも老け役。とてもよかった。

特にわたしは、この絵に出て来る、山田幸兵衛が好き。(「文」と書いた衣装をきている主人公の左側の黄土色の着物を着た人物。)
現代だったら山崎努がするような、渋い顔役。山田幸兵衛や、「夏祭」の三婦みたいな人物の部分ほんときいていてうっとりする。