尾道へ

いつか行ってみたいと長い間思っていた尾道へ。急に決まったため、尾道のどこに行きたいという具体性のないまま出発。
の、わりに、つくなり、
何やらドラマにでてきそうな港町らしいホテルの風情や新鮮なお刺身、やわらかいあなごのかばやきなど大いに楽しむ。
アーケードは古くからあるお店と新しいお店が混在していてとてもいい感じ。写真の喫茶classicoは満員でテイクアウトで豆を買っただけど丁寧な仕事ぶりがとても気持ちいい。
またその並びには
志賀直哉ゆかりの地らしき「パン屋航路」というお店が。京都の「カフェ工船」にも似たネーミング?だじゃれっぽいのにおしゃれで実力派な感じのお店。すごい人気ですぐ売り切れ。
さらに駅よりには
芙美子」という昭和喫茶の香りがするお店。*1林芙美子の昔の住居がみられるようになっていて、また林芙美子の写真や未発表生原稿などの資料がすごくたくさんあり、ちょっと前に桐野夏生さんの「ナニカアル」という芙美子がらみの本を読んでいた自分たち夫婦にはとても興味深い場所だった。「ナニカアル」で読んでいた風景が写真にたくさん残っているのだから。「ナニカアル」は桐野さんの大胆推測に基づくフィクションなんだけど、かなりきっちり調べてあったような感じ。マダムとしゃべっていると、いろんな方向から林芙美子のことを書いている人はいて、「ナニカアル」にも名前は出てこなかったもののモデルになった人が登場する大泉滉の妹さん側から書かれたものはまた違った方向から光があたっているよ、とのこと。ちょっと読んでみたくなった。

ナニカアル

ナニカアル

尾道らしい坂道には猫がいることを看板に書いたお店などもあり、日本のマルタ島?みたいな気持ちに。

ちょうど、映画の本で興味を持った吉本由美さんの旅行記「日本のはしっこへ行ってみた」に尾道のことが載っていたのでその箇所だけ先に読む。吉本さんが探しても探してもみつけられなかった荷車に魚を載せて売っておられるご婦人「晩寄りさん」は、アーケードにずっといらっしゃったなあ。。とか、吉本さんが行かれた「大和湯」という銭湯で買い物したなぁ。。と、行ってすぐ読むと情景が目に浮かんで楽しい。坂道を歩きながら気になっていた緊急車両、ゴミ回収のことなどもこの本に答えが載っている。

日本のはしっこへ行ってみた

日本のはしっこへ行ってみた

有名な尾道ラーメンをガイドブックに載っていた雑兵というお店でいただいて、帰途につく。おいしかったし、充実していた。
70〜80年代の空気を感じるロゴなお店。いい風景、いい路地が豊富な町。

*1:2019年3月追記:喫茶芙美子はこのあと閉店し、おのみち林芙美子記念館になったそう