日本ボロ宿紀行

 

日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫)

日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫)

 

ボロ宿というと、自分はつげ義春の「リアリズムの宿」を想像してしまうのだけどこの本ではネガティブな意味のボロ宿ではなく、豪華ホテルの対義語としてのボロ宿という感じで風情のいいところがたくさん出てくる。照れ隠し、あるいは時代への訴求力を考えてのネーミングか?

圧倒的に自分のいった場所について書いてある紀行文が楽しめる。文面から推測するに2010年の夏の尾道の旅など、自分も行ったことのある喫茶「芙美子」*1が紹介されていて嬉しい。また境港。水木しげるの妖怪を前面に押し出しすぎて私なんかはちょっとついていけない気分になってしまったのだけど、そんな心境と呼応する書きっぷりはうれしかった。あと坂出のストリートミュジシャンを近くで聞いているのは自分ひとりみたいな時、あなたならこういうのがお好きでしょう、みたいな感じで年代的には遠くはないが微妙にズレているキャンディーズを演奏されムッとするところ・・ちょっと気持ちわからなくないでもない。私はムッとできなく、困惑してしまうタイプだけど。

とても興味を持ったのは出雲市の持田旅館。町おこしに取り組んでいる元気な女将さんのはなし。

先日行った雲南市たたら製鉄の町吉田で文化的な説明をきっちりしてくれる女将さんのいらしたカフェはしまん

www.unnan-kankou.jp

 

や、やはり芝居小屋やそれに付随する文化について詳しく説明してくださった内子の松之家旅館*2の女将さんを思い出した。