文楽観劇のド素人であったしをんさんが、いかにして文楽にはまっていったかの記録、と最初に書かれているものの、よく古典芸能の場面で、立派な芸が披露されているにもかかわらず体力気力がついていかなくなってしまう自分は途中で挫折しやしないか心配しながら読み始めた。が、するするっと読めるし、「忠臣蔵」へのツッコミとか声を出して笑った。そして、世話物にでてくるダメ男の描写、そして行く末に涙してしまった。誰かの意見を借りるのでなく自分の平面で考えたことが書かれていて気持ちがいいし、読みやすい。しをんさんが文楽を舞台に描いた「仏果を得ず」*1を先に読んでいたことも、この本を読む推進力になったと思う。たとえば、「仏果を得ず」にもでてきたのだけど、「忠臣蔵」って大きなラインは知っていたが、結構好きなアニメ「わんわん忠臣蔵」に出てきたカルーっていうわんちゃんは「おかる」から?・・とか、ちょっと前の日本人だったら超常識かもしれないから、いまさらきけなくどこから手がかりにしていいのかわからないようなことがわかりやすく書かれていて本当にありがたかった。あと、「女殺油地獄」。これも映画*2でみて、なんともいえないやるせなさや、問題人物与兵衛の変な魅力を味わったもので、その辺の気持ちもなんか説明してもらった感じですっきりした。
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