国立文楽劇場錦秋文楽公演

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ここ何年間か毎公演全演目を欠かさず観てきた文楽公演だが、今回は一緒に行く父の体力が本調子ではないので一演目のみ鑑賞。いつも一日中いるので一部で帰るのはあっという間の夢の時という感じだったけれど、実際父の様子をみていると、ほんとにあれでギリギリ(ないし、ギリギリ未満)だった・・とりあえず久々の開場という歴史的な公演。一演目だけでも駆けつけられてよかった。

 

冒頭リンクを貼ったページから文楽劇場のコロナ対策の動画が見られるがなかなか愉快に作ってある。

 

鑑賞したのは第一部 

源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)
 矢橋の段
 竹生島遊覧の段
 九郎助住家の段

 

父はこの演目グロテスクであまり好まないらしいが、新聞にも記事が載って

www.asahi.com

 

この演目に行こうということに相成った。確かに、スプラッター的であり、大胆である。「矢橋の段」では、歌舞伎で七之助が演じている*1のを観たことがある小まんという女性が乱闘ー大活躍。「愛のむきだし*2満島ひかりみたいである。「竹生島遊覧の段」は二艘の船を対照的に使った舞台が見どころ。楽しめた。でも語りに一番乗れたのは、「九郎助住家の段」の錣太夫さんのつとめられた「後」の箇所。悪役として登場する瀬尾十郎の大舅というお人形が、なんかくっきりしていて、東映時代劇の悪役俳優のような、どうかするとコミカルにもみえないでもない好みの顔であり(こちら参照)、彼について大いに語られる「後」は、錣太夫さんのリズムの良さともあいまってとても楽しく聴くことができた。*3

普段からtwitterinstagramを拝見している咲寿太夫さん、snsを毎日読んでいると、文楽に出会われた経緯(三浦しをんさんの「仏果を得ず」*4とのかかわり)*5や、先だっての大阪市廃止の住民投票への思いなど知れて親近感がわき、家族のような気持ちで、こちらの出番(「竹生島遊覧の段」の宗盛)も普通以上に楽しめた。