家族生活

ふや町映画タウンのおすすめリストに載っていて借りてみた。

不器用な中年男の前妻との間の娘との小旅行。まずは、どう接していいかわからず友だちを中にいれて会おうとする娘との距離感。徐々にそれが埋まるも、時間の制約のある中で良いものを伝えたい、良い時間を過ごしたいと思うあまりのすれ違いの寂しさ・・なんたる機微。気持ちがわかりすぎる。夕暮れのさびしさ、焦り。ビデオの後ろには「精神的近親相姦を描くロードムービー」なんて、無理やりのことが書いてあるが、そんな映画じゃない。もっと当たり前の気持ちを描いたものだ。(ジュリエット・ビノシュ演じる現在の妻の連れ子とのやりとりは、勝負に出ている感じでとてもフランス的と思ったが。。)

ドワイヨン監督のもの、「ポネット」しかみたことがない。80年代前半(84年)で私小説的ということで、少しロメール監督の作品も思い出す。何回となく思い出しそうなよい時間を過ごせた。

 

家族生活 [VHS]

家族生活 [VHS]

 

 

 

止められるか、俺たちを

昨日、京都シネマにて。井浦新の若松監督への愛情あふれる姿と熱に揺さぶられる。若松監督のユーモラスな感じ愛すべき感じが出ている。そばにいた人ならではの表現と思う。若松組だったという白石和彌監督、「日本で一番悪い奴ら」*1や「凶悪」*2ではどこか対象を笑ったりする余裕や距離を感じたけれど、これは別格の、そういうタッチではない作品に感じられる。70年前後の若松プロ周辺の人間関係、あの作品がこうつながるという面白さ。大島渚赤塚不二夫篠原勝之との交流。ついこのあいだみた「ゆけゆけ二度目の処女」*3に出ていた秋山道男さんはタモト清嵐という俳優さんが演じ、パンフレットの対談に秋山さん自身が出てこられている。当時の人たちの対談が毒舌でまた楽しい。撮影監督の高間賢治氏、三谷幸喜椎名誠の撮影監督をされていて、著書*4などから勝手に穏やかなイメージをもっていた*5ものでこんなにどっぷり若松組なんだという気持ちになる。佐々木守氏はやっぱり若松監督と関係あったかという感じ。また、先日のロマンポルノリブート「牝猫たち」*6でみかけた吉澤健氏を高良健吾氏が演じている。そういえば若松監督の作品に出ている吉澤さんを鹿島茂さんがとてもほめておられたなあ。*7この映画では女性の助監督吉積めぐみさんのことが中心にすえられている。女性を捨てて邁進していても、女性としての肉体に縛られてしまうような部分、この問題結構大きいと私は感じている。パンフレットに載っていたライバル?といえるのか、夫婦で活動していてポルノの一人者になった浜野佐知氏との対比の話も心に残る。映画の中の山本浩司氏が演じた足立正生さん、対談のリアルの足立さん、作品や経歴だけみていた時とイメージが違っていた。なんだかずいぶん穏やかに感じた。。

 

 

止められるか、俺たちを [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/04/02
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

*1:日本で一番悪い奴ら - 日常整理日誌

*2:凶悪 - 日常整理日誌

*3:非行少年/陽の出の叫び、ゆけゆけ二度目の処女 - 日常整理日誌

*4:シーナ映画とコーキ映画 - 日常整理日誌

*5:しかも、「シーナ映画~」を読んだ時の自分の感想をちゃんと読んでみたら表紙から想像するようなのほほんとした感じではなく、なかなかズバズバ書いてあったらしい・・もう一度読み直さないと・・・

*6:牝猫たち - 日常整理日誌 

*7:甦る昭和脇役名画館 - 日常整理日誌

ひばり・チエミの弥次喜多道中

ちょうどこの映画を京都ヒストリカ映画祭でやっていて、ミルクマン斎藤さんの対談に興味をひかれ、映画祭でみるのが一番なのだけど、次善の策としてビデオで借りてみてみた。

実はひばり、チエミ両者とも迫力がありすぎてわたしは少し苦手で・・わたしにとっては、お役人千秋実の出てくるシーンが一番楽しくて、出てくるたびによいなあと喜んだ。千秋さんのおでこにできるコブがネタになるのだけど、自分の幼い頃の記憶にある水田大蔵大臣の頭のコブが思い出され、wikipedeiaでみると、水田大臣のコブができはじめたのが池田内閣入閣のころ(1960年7月)とのことで、73年に手術でコブを切除されるので、この映画の頃(1962年)はコブの大臣でいらっしゃったのだろうな・・

ひばり・チエミの役どころは、江戸の芝居小屋の下足番。舞台にのぼることをあこがれて、夢のシーンみたいな感じで、歌舞伎風のひばりの石川五右衛門助六、そして最後は二人の三番叟のシーン(途中で三番叟のリズムがモダンにかわっていく)、また密偵調査をしている東千代之介が法界坊に扮したりというシーンが楽しめる。沢島監督の映画で出てくる歌舞伎的要素の部分、いつも、もともとの、庶民が楽しんでいたきらびやかな世界としての味わいがある。

ひばり・チエミが弥次喜多に扮しているときの頭に巻いた手拭いが黄色いひばりと黒い猫か何かの図柄でとてもかわいい。

弥次喜多だけに一応一番最後は京都が舞台になって、友禅染と思われるものを活かすシーンあり。(川で干してあったのにくるまったり、最後の黒幕集結の場面でタピストリー的に使われていたり)千秋さんも京都では大原女風に扮するシーンあり。展開良く贅沢にばんばんアイデアが使われている感じ。

 

ひばり・チエミの弥次喜多道中 [VHS]

ひばり・チエミの弥次喜多道中 [VHS]

 

 

没後50年 藤田嗣治展

www.momak.go.jp

しりあがり寿がイラストをかいて盛り上げていてそれにひかれていったが、、若い頃は自分を表現するのにお気に入りのモダンなグッズを並べたり、いまのおしゃれ系とおなじだなあというところからのスタート、楽しかった。

フジタが四国でとても丁寧に撮った日本紹介のドキュメンタリー映画が、なんか日本が未開の地と思われる、国辱的という意見がでて、結局未公開に終わってしまったはなしなど、その後の、戦時中を経て、戦意高揚の責任をひとりおっかぶされ日本がいやになってしまったことなどとも重なり、そりゃ広い世界でいろんなものみてきた人にはそんな仕打ちいやになってしまって当たり前だよなあと思った。

 

instagramより

https://www.instagram.com/p/BpwFxmBHUTP/

#藤田嗣治展 #京都国立近代美術館 藤田画伯はモダンでお茶目な、今に通じる感覚を持ってらっしゃった方じゃないかなあとネコのケンカ図やお気に入りアイテム紹介の絵から感じました

 

火まつり

1985年キネマ旬報賞主演男優賞受賞、毎日映画コンクール日本映画優秀賞作品。この映画の予告編は当時ミニシアターでみていて、浮ついた大学生だった自分には縁なき世界の話のように思えていたが、今見るとすごく興味深い。この年齢でみることができて本当に良かった。中上健二原作の、和歌山県の熊野のあたりの風土ならではを感じる物語。北大路欣也演じる主人公は人間のルールを超越した神の子のような存在。太地喜和子演じる女もまたその現代の神話を力強く彩っている。普段個性を感じる宮下順子森下愛子三木のり平といった面々がこの山と海に囲まれた集落の人物をきっちりと丁寧に普段のそれぞれのイメージから跳躍して演じ切っていることでこの作品をこの現実の中の神話として生かしていてる。見ごたえがあった。

 

火まつり [VHS]

火まつり [VHS]

 

 

 

高慢と偏見とゾンビ

ついこの間ローレンス・オリヴィエの映画「高慢と偏見*1をみたところだから、よいチャンスと思い、録画していたこの作品をみた。wikipediaに9割は原典をそのまま用いていると書いてあったのにも興味があって。ゾンビの部分があるために原作から設定をもらってきた格闘系ゲームという趣きになっている。ただ、こちらの映画はキャラクター分けがしっかりしていて話を追う上ではとてもわかりやすい。

ローレンス・オリヴィエ版にしろ、「ブリジット・ジョーンズの日記」にしろ、登場人物の中で一番ダーシーのことが気になり、その名前だけさっさと記憶したのだけど、こちらでもダーシーの沈着さに惚れる。だけど、この映画の中でこれはゾンビ退治する立場からみてよろしくないのでは?という行動をとったりするシーンがありそこは不満。

ヒロインのエリザべスもずいぶん胸を強調したコスチュームで、そこらへんもゲームみたいな感じ。彼女も武術をたしなみ、ゾンビと積極的に戦っていくが、戦略的にこんな弱い人を一緒に連れて行ってはダメだろうというところがあったり、戦士にしてはなあみたいな気持ちにもなった。

戦士の位みたいな話で京都で武術を習うのがベストだけど、このエリザベスは少林寺で、と貶められたりするシーンもあったが、そこもよくわからなかった。なんか勘違いで持ち上げられているような気持ちで。

 

高慢と偏見とゾンビ(字幕版)
 

 

信長協奏曲 16

 石田三成が出てきた。相手の気持ちを汲み取るとかムリという感じ、「真田丸」でみていた姿と重なるなあ。