甦る昭和脇役名画館

鹿島茂さんの映画鑑賞史をたどりながらの、鹿島さん一押しの脇役案内。ニュートラルに経歴を辿るものでなく、まず鹿島さんがその俳優のどの演技に惚れたか、そこからの話で熱さが楽しい。そのあと経歴がはさまれ、その演技の魅力の秘密が書かれている。

岸田森伊藤雄之助芹明香など自分も納得のいく人たちの中にまざっているジェリー藤尾氏。鹿島さんご自身もテレビでのジェリー氏の過剰な感じはもうひとつと思われていたらしいが、映画で「わざとらしさ」を演じなければいけない時、もともとのジェリー氏の「わざとらしさ」でもって「マイナスかけるマイナス」のプラスに転じる効果があるとする理屈のおもしろさ。そんなにおっしゃるなら、ふや町映画タウンにも在庫のある「拳銃は俺のパスポート」をいつかみてみようかという気に。(増村監督の「偽大学生」もみられる機会があればみたい。)

「牝猫たち」*1や「牝猫たちの夜」*2に出演の吉澤健さんの項では、若松監督作品と鹿島さんの出会いから話がすすめられている。「情事の履歴書」で衝撃をうけながら、その後「愛のデザイン」という作品で失望、しばらくはなれてしまったため、若松監督の映画にスーパーヒーロー、吉澤健が誕生する瞬間を見逃したと書いておられるのが「狂走情死考」。新宿騒乱と北国ロケ・・興味深い。

荒木一郎氏の「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」も京都舞台で前から気になっていたがあらすじを読んで興味が増した。とりあえず、名前が同じ「モグラ」という登場人物が出てくる、中島監督の「現代やくざ 血桜三兄弟」から手を付けようかな・・


甦る昭和脇役名画館

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