洲崎パラダイス赤信号

 

1958年 川島雄三監督

20年ぶり*1に再見

初見時よりずっと印象がいい。「風景や情緒は味わえたが結構男女関係等どうしようもなかったような。。」なんて勝手な後味を持っていたが今回は爽やかで前向きな作品に感じる。出てくる人みんな好ましい。

三橋達也が仕方なしに働く蕎麦屋「だまされ屋」の先輩店員の小沢昭一、出てくるだけで面白い。なんてテンポが良くて面白いんだ。そこの女店員芦川いづみ。芦川さんを好きな人にXでたくさん出会い、確かになんと可憐な、と。

新珠三千代のやり手なこと。気持ちがいいし、最終的にはこれで良かった、って感じ。

新珠三千代が洲崎に降り立って働き始める飲み屋の女主人に轟夕起子。彼女の境遇に途中で少し変化があるのだが、その時身なりはもちろん表情まで違っていることに一緒に観た家族が感心しきり。部屋につぎはぎの仕切りがあるんだが、自分より上の戦中世代がパッチワークに対する偏見を持っていたことを思い出した。この映画内での使われ方みたいな印象だな。

脇の人たちの逸話が新珠ー三橋カップルのあったかもしれない形を思わせ、話が重層的になり面白い。ラスト近く街角で映る「男の争い」(55)のポスター。再出発をかけようとしつつしがらみにからみとられたりするあの物語とも交錯する。

どのカットも構図が決まっていて感嘆しきり。

こんな後味の良い映画だったか。。と驚いて幕。多分自分のものの捉え方の変化だろうな。