復讐浄瑠璃坂

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直木賞の名前の由来、直木三十五の原作。

二川文太郎と並木鏡太郎の共同監督作品。二川文太郎、映画「カツベン」*1にも出て来た無声映画「雄呂血」*2の監督で、クラシック監督のイメージなので昭和30年のこの作品も監督されてたんだ・・と息の長さを感じたが、渡辺才二氏と嵐寛寿郎研究会による「剣戟王 嵐寛壽郎」に載っていた並木監督へのインタビューに裏話が載っていた。

 

剣戟王 嵐寛寿郎
 

 

二川監督はマキノ倒産以降松竹に移ったが、会社の閥に阻まれ、数作で監督ができなくなり、その後、昔監督に世話になったプロデューサーが宝塚映画でこの作品を撮る段取りをつけようとしたところ、親会社の東宝が二川監督一人ではダメで、アラカンさんとたくさん映画を撮っている並木監督と共同監督で撮るよう要望があったとのこと。「二川」「ろっぺい」コンビとして「雄呂血」他大ヒットを飛ばした寿々喜多呂九平氏の脚本が用意されていたのだが、並木監督はトーキーの脚本ではないと判断、本人の了解をえて全面的に手直しし、(時代の流れを感じ)複雑な感慨にとらわれたとのこと。

観た「日本映画傑作全集」のビデオに同梱されている資料には、脚色竹井諒、加味鯨児と記されている。

 筋は宇都宮の旧家同士の確執からの仇討ドラマであるが、武を重んじる家が、能などのソフトな嗜みももつ家を愚弄というところから始まっている。軽んじられる側の跡取り息子が先日亡くなった四代目坂田藤十郎。彼の舞う能が冒頭割合時間をとって出てくる。争う両家の犠牲となるのが、彼の許嫁で対立した家の娘(扇千景)。議員姿でない扇さん、自分には大変珍しい。↓

 

画像

 

ちょうどこの映画を観た日に「徹子の部屋」に扇さんが出ておられたが、映画女優としての時間は短かったようだ。(2/18までTverで配信。)

この映画の見どころは、それぞれの家の軍師となったアラカンさんと大河内傅次郎氏の対峙。アラカンさんは爽やかに、大河内氏は人を食ったような大きさで活躍。大河内氏側は江戸の大久保家に匿われたりしていた。

仇討と恋愛だとか、筋の流れは少し忠臣蔵に似ているが、作っている方もそれを意識しているのか、冒頭にこの事件が忠臣蔵より前に起きたことが語られる。(1672年に起きた事件で、忠臣蔵の事件より30年くらい前の話ということだ。)

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