国立文楽劇場開場三十五周年記念 初春文楽公演

第1部 午前11時開演
七福神宝の入舩(しちふくじんたからのいりふね)

竹本津駒太夫改め
六代目竹本錣太夫襲名披露狂言
傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
  土佐将監閑居の段

曲輪ぶんしょう(くるわぶんしょう)
  吉田屋の段

第2部 午後4時開演 
加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)
  草履打の段
  廊下の段
  長局の段
  奥庭の段

明烏六花曙(あけがらすゆきのあけぼの)
  山名屋の段

 

若い頃はお正月の改まった雰囲気、いろいろなことをさせられる感でいっぱいで大嫌い、平常モードが一番という感じだったのだけど、近年、お正月特有の雰囲気が好きになってきた。松なんかの模様もいいな、と感じ始めている。

文楽劇場も新春らしい装い。舞台正面のにらみ鯛。(関西特有のものとか?)

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三番叟のお人形のそばの餅花。

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午前の部がはじまる15分くらい前に舞台を清める意味で、ノンクレジットで人形遣いの方も顔を出さない幕開き三番叟というものが舞われるけれど、最近ぐっとくるようになった。これから、だんだん名前が出て、顔も出るようになってくるんだな、というような・・(こちらの記事を拝見していたらまったくの一番若い人というわけでもないそうだけど、どちらにしろ、これから感はあると思う。)


舞台の方も七福神宝の入舩という七福神が全員舟に乗っているおめでたく、かつ舞台装置もにぎにぎしい楽しい演目から始まり、廓ぶんしょう(文楽の書き方だと文と章という字が組み合わされて一文字になっている)の揚屋吉田屋も餅つきから始まったり、お正月のかわいらしいお飾りがついた餅花の装飾など、お正月ムード満載。七福神、それぞれが芸を披露というかわいらしい内容だったが、弁天さんの髪飾りの鳥居や福禄寿の頭が伸び縮みなど造形的にもとっても楽しめる。しょっぱなから海の青と紅白がとても鮮やかできれいな舞台。

ほかの演目も流れ的には無理やりでもほとんどハッピーエンド的なおめでたい内容になっていたように思う。

「吉田屋〜」は、零落した御曹司が着ている紙衣、これがパンフレットの表紙に使われていたが刺繍の縫い取りで、衣装をよくみる楽しさというのもあるなあと思った。


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今回は錣太夫さんの襲名ということもあり、「傾城反魂香」は、やはり襲名にかかわるストーリーだったし、確か違う演目でも(七福神?昨日のことなのに曖昧・・)錣太夫さんの襲名を祝福するワンシーンが挟み込まれ素敵だった。「傾城反魂香」、いつ見てもちょっと地味な演目のように思えるのだけど、もともと江戸時代に口が達者で有名な坂田藤十郎に、あえて、吃音キャラを演じさせるというしばりがウケた演目だそう。踊りの上手な人の「棒しばり」みたいな感じかな・・

一番場がはりつめて集中していると思ったのが午後からの「加賀見山旧錦絵」。「いだてん」や「スカーレット」で黒島結菜さんという女優さんが気になりはじめ、「アシガール」というコミカルな時代劇のCSでの再放送を見ているのだけど、女の子の活躍ものって大好きで、この加賀見山はまさしく女忠臣蔵ともいわれる、召使お初大活躍のストーリーで、 お初を遣っているのがいつも優れた運動神経を感じさせる桐竹勘十郎さんで、もうはまり役。長局の段の二分割画面もとってもいい!劇場全体の集中の圧がすごかった。

この演目から作られた映画の鏡山*1も、今回とストーリー少し違うんけれど、いいんだよな。(映画の方の記事のコメント欄にはかなさんが文楽の「加賀見山」をご覧になった感想もありとても参考に・・)

 

最後の演目「明烏六花曙」の手代は人間で演じるなら笹野高史さんだなあ。お人形が笹野さんにしか見えなかった。

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