The Humbling

アル・パチーノ主演。多くの人にみてもらいたい自身の出演作に挙げている作品。
アクターとして生きてきた人間の、演じていること=人生のような姿。セラピーで会った女の打ち明け話がテネシー・ウィリアムズの戯曲の世界のように思え、若い女と愛を語らうときは「オセロ」のセリフが気持ちよくでてき、ののしり合って怒鳴る時出てくるのはジェームズ・スチュアートの「ハーヴェイ」のたとえ話。物語と現実の生活が交錯し、老いの気の弱さ、迷妄からくる哀しさは「リア王」のようでもあり、古典悲劇の主人公のごとし。原作のある作品だけどあて書きのようにパチーノ氏にぴったり。
若い女たちに振り回される姿はウディ・アレン作品かとみまごうような、軽妙かつ、哀愁漂う雰囲気。パチーノ氏の最近(といっても2014年)の姿がみられたのはとてもうれしい。年齢を重ねても相変わらず魅力的。ピーター・オトゥールの「ヴィーナス」*1などでもだったけれど、かっこよく生きてきた男性が若い女と出会って・・というのは、老いや死へのカウンターとしての生の世界にあこがれつつも自然の流れに抗う辛さがそれほど普遍的であるというところなのだろうか。

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