京都の喫茶店:昨日・今日・明日

前著「京都カフェ案内」からもう12年!もともと浮ついたところのない木村さんの著作だけどさらに深みや落ち着きを増していて、今のこちらの気分にちょうどあっている。
きちんと喫茶店の人に取材してその店の歴史をまとめてあり、とりあげられれている事柄が自分の興味をひくものだ。喫茶店の沿革、内装などなど。。歴史的文化的な事柄とともに新しい情報も入っているのもありがたい。

たとえば六曜社のタイルの壁は清水で焼いてもらっていて、寺町三条の額縁屋さんが同じ種類の大きいサイズのタイルを外壁に使っているとか・・調べてみると、川島雄三の「愛のお荷物」*1に出てきたガクブチのヤマモトの東店だ!(写真こちら
四条の鍵善、黒田辰秋の箪笥が有名だけど、本当は設え全部やってもらうつもりが、当時のあるじ今西善造さんが途中で亡くなってしまったことと戦争がはじまったことで中断してしまったとか。くずきり専用の螺鈿の器をこしらえたのも黒田辰秋であるとか。何年か前に行った時、「くづきり」の説明についていた文字の民藝調に舞い上がって、飾り棚までゆっくりチェックしなかったけれど、河井寛次郎の花瓶や皿が置かれていたらしい。(鍵善のサイトの「祇園の文化とともに」というページに、この辺の写真が載っている。「くづきり」の文字は河井寛次郎さんのものだったらしい。)
鍵善が四条通南側の路地に作ったゼンカフェも興味を持った。(こちら参照)
前著「京都カフェ案内」からの引用だが、「ソワレ」の、東郷青児の説明のところに出てきた京都駅前の「丸物百貨店」大食堂の壁画の話。近鉄に変わってそのあとヨドバシカメラになった丸物の名前に反応。そして、丸物のことを調べていたら懐かしいラジオCMを公開しておられるサイトに出会う。(こちら)「大安」の宣伝とかその時特別好きとかいうのでなくてもものすごく懐かしいものだなあ。ソワレのブルーの照明のアドバイスをされたという色彩論の上村六郎先生という方の話だとか、「ソワレ」という喫茶店の文化好み、趣味人的な色彩など、前著は読んでいるのに新鮮な受け取り方をした。

最近の店の情報としては、以前から興味のあった喫茶セブン、看板はかかったままだけれど、「マドラグ」というお店になっているらしい。(行かれた方のブログはこちら)「マドラグ」の山崎三四郎裕祟さんのお父さんはは寺町六条のちょっと気になっていたお店「嵯峨野」のバーテンさんだとか、山崎さんは「さらさ」で仕事されていたとか・・なんか自分が興味あるポイントに触れていかれる本だった。

京都の喫茶店: 昨日・今日・明日

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