館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

今週の火曜、水曜(14,15)と渋谷PARCOの三谷文楽「其成心中」をみに大学生のこどもたちと上京。
前泊したので、東京都現代美術館の「特撮博物館」へ。

特撮をつくりあげた人たちの仕事ぶりを庵野秀明が丁寧に解説してくれるもの。展示物にそえられた「庵野のひとこと」のような欄に奥さんの安野モヨコさんのイラストが描かれているのが楽しい。先月、息子の大学の大衆史を聴講し、「ゴジラ」が作られた背景*1などについてきいていたところで、またかねがね佐々木守氏などが脚本を担当した「怪奇大作戦」などに流れる重い思想性にうたれもしていたのだけど、ウルトラマンのデザイナーの成田亨氏の、デザイン単体でおもしろいのではなく、どういう風に生きてきて、こういう経緯のある宇宙人だからこういうデザインという、生き方を反映したものでなくてはよいデザインは生れないという主旨の文章にうたれる。特撮とはそういうところから始まったものなのだな。。
円谷英二の紹介で、いまさらながら「BILLY BAT」9巻に出てくる円谷氏がモデルの明智監督とのぴったりの照合にあらためて感心。「BILLY BAT」にも出てくるピアノ線をうつさないためさかさにつるした飛行機の工夫も紹介されていた。この勢いなら「BILLY BAT]に出てくるような謀略も説得力がある。

BILLY BAT(9) (モーニング KC)

BILLY BAT(9) (モーニング KC)

特撮で作った街角。
美術館から外に出てもまだ特撮の中にいるようだ。。巨神兵の映像をつくるためのうちあわせ中のデザイン画などからも制作の現場の細かいやりとりが伝わってきたし、ウルトラマンの点滅ライトに至るまで制作に携わった人々、現場を丁寧に紹介する楽しい展覧会だった。

*1:初代ゴジラにかなり関連付けてある大森一樹監督の「ゴジラVSデストロイア」のストーリーの、いまきくと本当に驚くほどの原発とのつながり。あるいは、加藤典洋氏の「さよならゴジラたち」など南国の英霊との関連の分析。