芝居道

長谷川一夫古川緑波が組んでいるものは「男の花道」「家光と彦佐」(いずれも1941年)などをみてきた。1944年のこの映画もこの二人のコンビもの。息があっている気がした。まるで輪廻のように生まれ変わっては出会い続けている二人をみているよう。長谷川一夫の所作が踊りをやってきた人だから神経が手の先まで行き届いているというのをきいたことがあるが、この映画でも上方風の挨拶をするところなど京菓子をみているようなたおやかな美があった。
角座や中座の話らしいが緑波の主張する、戦争に勝って湧いているときにこそ質素倹約なお芝居を、という主張は公開当時の世相を反映しているのでは?と思った。
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