家守綺譚

評判がいいのは知っていたのだけど、静謐すぎる話では?と敬遠していたところ、友人から京都の話と教えてもらい読んでみた。作者の梨木香歩さんの経歴からも山科の話だと思われる。戦前ののんびりした学士さんのおはなしであり、飄々とした空気が漂っていて読みやすい。主人公は亡くなった友人の古い実家の守りをするのであるが、その庭の木々やら、裏山やらで異界との遭遇をごく当たり前な感じでしていて、周りの人物もそれを自然なものとして受け入れており、今よりずっと雑音が少ない時代だもんな〜と読み手もそのことを自然に受け入れられる感じの物語である。自分の身の周りがちょっと違ったものにみえるような本である。


家守綺譚

家守綺譚