明治後期の時代の人間関係、流れがよくわかると歴史に強い友人にすすめてもらい読んでみる。
前にちらっと読もうとしたとき、情報量が多すぎて先にすすみにくかったのだけど、今回は大丈夫だった。ちょうどNHKの「おまえなしでは生きていけない」という猫を愛した芸術家の話の漱石の回をちょっと前にみていたのもあってすんなりとはいってきた。
自分の勝手なイメージでは漱石はロンドンで神経衰弱になったり胃をいためりするほど苦悩をかかえてはいるもののなにか超然とした人物を想像していたのだけど、この作品の中の漱石は酒乱、そして侠客を含む酒場で知り合った人たちと交流を深めたりして、気さくのような一面もある。もちろん作品もユーモラスな部分もあり、それが魅力なんだから、かたくなでないことは確かだったのだけど、さらに一歩踏み込んだ描き方をされていると思う。そしてただの偉人伝的描き方でなく、その限界も、また小説の中の登場人物に託した思いもちゃんと描かれていておもしろい読み物になっている。
友人のいう通り、当時の多相な人間模様が、政治も含めて整理されてはいってくる。

- 作者: 関川夏央,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2002/11/12
- メディア: 文庫
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