ベスト・オブ・ドッキリチャンネル

森茉莉さんって耽美的な話を書き、美意識の発達した方というイメージが強かったのだけど、群ようこさんの書いた評伝「贅沢貧乏のマリア」を読んでからこの本を読むと、なんかかわいらしい人、という風にみえて仕方なかった。ずけずけ書いてあるけれど自分のこともよくみせようという作為とかを感じなく天衣無縫な感じ。昭和後期の芸能界について感じたままの寸評が愉快。鴎外っ子だということはきいていたのだけど鴎外の作品についても、盲目的にほめているのでなく割合忌憚のない意見を書いたところもあり、感じたままを正直に書く人なのだなとおもわれた。ここまで自分をさらけだしていいの?と思われるほどの表現もあり、声を出して笑いつつとっても好感をもつ。この文庫は中野翠さんが長く続いた週刊新潮の連載「ドッキリチャンネル」からダイジェスト版をつくったものですが、ここに載っていない分についても興味をもった。


ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)