虹の岬

映画にもなったようなのだけど、そちらの方は未見ながら、京都のそれも自分の住んでいる左京区の北白川や法然院あたりが舞台になっていて、谷崎潤一郎や、吉井勇さんが登場するので興味をもって読みはじめた。それらの方々とゆかりのある地に今自分が住んでいることは前から知っていたのだけど、それが肉付きをもって感じられるようになった。ストーリーは、実業家でありながら文学者である辻井喬の思いがすごく感じられるようなものだった。谷崎潤一郎賞もとっているこの作品、不倫なんて安い言葉で片づけたらそれをいったものをおとしめるような気品があった。

虹の岬 (中公文庫)

虹の岬 (中公文庫)