祇園の姉妹

花街ものの映画が割合好きな私だけど、その中でもこれは年代も古くてしっかりしていて特にすばらしい。

姉妹の芸妓さんが出てくるのだけど、姉は義理人情を重んじ、情に流されてしまうタイプ、それとは対照的な山田五十鈴演じる妹はすかっとするほどドライで、身のこなしも軽く戦前の映画という古さはまるで感じない。生き方の違う二人の身に降りかかる象徴的なストーリーをすごくわかりやすく、テンポよく描いており、今さらながら溝口監督の手腕に感動。

多分八坂神社と思われる風景、四条河原町のビルと思われる場所なども撮影されていて、風景にもひかれる。

祇園の姉妹 [DVD]

祇園の姉妹 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: DVD
みたのはVHS版

おもちゃ

京都の花街で働いている少女が下働きから「おもちゃ」という名の舞妓はんになるまでの話なのだけど、「祇園の姉妹」で山田五十鈴が演じたクールな妹さんの名前が「おもちゃ」さんだったし、ストーリーの上でも、「祇園の姉妹」の影響をとても感じる映画だった。ただ、くらべると騒々しいような感じ。続けてみると「祇園の姉妹」の良さが際だった。ただ主人公の透明感、一緒に働いているおばあさんのいかにも京都の女性という雰囲気、舞台になった路地の陰影はとてもすばらしかった。あと野川由美子さんのちょっと抜けたところのあるような魅力が心に残った。
[rakuten:mammoth-video:10003783:detail]

阿修羅のごとく

向田邦子さんの名作ドラマ「阿修羅のごとく」を森田監督がリメイクしたもの。これは、四姉妹の物語で、「若草物語」ないし「細雪」のように、今度は長女をだれがやるのかな、とか前回のとくらべる楽しさというのがあると思います。そして出来の方も。。。

キャスティングは、ドラマで次女を演じた八千草薫さんが、お母さん役を、長女を演じた加藤治子さんがナレーションをされ、せりふやエピソードの使い方などもドラマ版と同じままのものも多く、あのドラマ版がお好きで監督はこの映画を作ったのだろうなあと思われた。ストーリーもドラマをみていたものには、あのエピソードをここで使ったんだ。。要領よくまとめてあるな。。。という感じだったのだけど、多分そこに描かれていないドラマの中のエピソードもバックグラウンドにおいてみているからいいのであって、一緒にみにいった「阿修羅〜」をはじめてみる人には、いろいろなエピソードをあまりほりさげず、軽くたくさん描いた。。という感じにみえたようだった。わたし自身、「あのエピソードのあのあとの展開も描いた方がいいのに。。」と思う部分もあった。

全体に再確認、という感じでドラマを上回る感じではなかったけれど、仲代達矢演じる父と娘の関係は、映画の方がずっと丁寧に描かれていたように思う。ドラマの佐分利信のお父さんは「父」という動かしがたいものは感じたものの、情感という側面はあまりなかったから。。といってもドラマをみていたのは確か中学か高校時代で、「老年の父」というものを今ほどあまり切実にみていなかったのかもしれない。。

八千草薫には、前にないお母さんのかわいらしい魅力を感じたし、ぎすぎすした図書館員の三女役は、前回のいしだあゆみもよかったが、今回の深津絵里もまた違った魅力があった。彼女を好きになる気の弱い興信所の男に中村獅童がなっており、はじめはドラマの宇崎竜童を意識している演技のように感じたけれど途中から彼独特のかわいさがでていたように思う。

まぁだからドラマの世界をもう一度味わうことはかなりできた映画だったんですが、四女の深田恭子はどうかなぁ。。ドラマでは風吹ジュンが演じていて、なんかうらさびしさがうまくでていたけれど、フカキョンはそこの部分があと一歩だったかな。

阿修羅のごとく [DVD]

阿修羅のごとく [DVD]

この記事は関西どっとこむからお引越ししてきたのだけど、元の記事のときyukkekoさんがつけてくださったコメント

劇場で見たかった!と思いました。
どうしてもドラマの時と比べて見てしまうのですが、大竹しのぶとその愛人、愛人の妻は映画が良かった!仲代父もよかったですね。

ドラマを意識、というより尊重して丁寧に作られていると思ったし、安心して見ていられました。なのでエピソードについては確かに、ドラマを見ていないとわかりにくいだろうという展開がありましたね。。

向田邦子の時代を感じさせる家具調度品にこだわった映画と聞いたことがあるので、これはやはり映画館の大画面で見なければわかりずらいかも、と残念でした。

私のレス

家具調度品や美術はとってつけたような感じがなかったですね。
たまに「この映画はテーマパーク?」と思うような
とってつけた感がある映画があって 
途端にさめてしまうから。。

大竹しのぶのからみの桃井かおり三津五郎夫妻
たしかになんかよかったですねー。
父役もドラマの佐分利信は ほかのときでも
割合何を考えているのかわからない雰囲気が漂う役者さんだな、と感じます。
古い型のお父さん、って感じかな。。
仲代父は、感情が豊かだったような気がします。

お引越し

両親が別居するようになった少女の物語で、京都が舞台。祇園祭だとか、大文字、北部の方のお盆の行事だとか、なんか京都のいい部分をコラージュしている感じの映画で、京都の雰囲気は楽しめ、これがデビューの田畑智子はなかなか才気煥発な感じだったけれど、全体を流れる雰囲気がなんかはっきりしない感じで私にはもうひとつだった。京都の風景で自分の中のポイントを稼いだ映画という感じ。桜田淳子の捨て身な感じの演技はとてもよかった。

個人的なことながら自分の住んでいるところに近い北白川疏水べりがでてきたのはうれしかった。北白川のカトリック教会を根城にして撮影されたというようなことも本で読んだ。

お引越し デラックス版 [DVD]

お引越し デラックス版 [DVD]

ごめん

はじまり方はとても強烈で、小学生の話なのに(いや、だからこそ)ちょっとひきそうになったのだけど、お話のペースになれたら、小学六年生の男の子の、中二の女の子への淡い思いや純情が絵空事じゃなくて、リアリティをもちながらもすてきに描かれているのがすっとはいってきて、後味はとてもよろしい!このみずみずしい気持ちの表現、13歳の二人の交流をさわやかに描いた名作「リトル・ロマンス」に通じる何かを感じた。上賀茂神社付近の道や哲学の道など京都の風景がでてくるのも楽しい。

ごめん [DVD]

ごめん [DVD]

blue

魚喃キリコのコミックを映画化したもの。小西真奈美さん、市川実日子さんの透明な感じの高校生姿がとてもよかった。

ものすごく長い間のあるおはなしで、普段「間」をおそれてしまう関西人のおばさんである私の現在の生活とはかけ離れているけれど、自分の中の内なる10代の部分を呼び起こされ、すごく気持ちがわかってしまったし、はたち前の女子の世界がうまく描いてあるなぁと思った。なんだかなつかしくて、ずっとその世界に漂っていたい、という気にまでさせられました。。原作のコミックもすばらしい。(より原作の方が深い感じがするので映画を先にみた方がいいと思う。)

blue [DVD]

blue [DVD]

Blue (Mag comics)

Blue (Mag comics)

最高殊勲夫人

今までわたしがみた増村作品というと、緑魔子船越英二のなんとも形状しがたいグロテスクな芸術作品のアトリエで飼い慣らされていく「盲獣」だとか、アクの強い緒形拳コーチのもとで、何やらあきれるようなトレーニングを大楠道代が受けてしまう「セックスチェック 第二の性」だとか、動物性油脂のにおいも強い、どろどろした作品が多かったのだけど、この「最高殊勲夫人」はなんだかとってもコミカルでかわいらしかった!主演の若尾文子もとってもナチュラルでいい娘さんを演じていて、魅力的。そして構図や色遣いがなんか、なつかしくもかっこよい。おすすめ。

最高殊勲夫人 [DVD]

最高殊勲夫人 [DVD]

盲獣 [DVD]

盲獣 [DVD]

若尾文子田宮二郎がしたたかな生き様をみせつける映画。増村保造監督。いかにも1960年代の作品らしく、高度成長時代にはいり、経済的な豊かさにがつがつしはじめている日本を感じます。男女のたぬき合戦、という感じの映画なんだけど、増村監督の構図は本当におもしろい!ものと人の配置などがとてもシャープで楽しめた。おはなしとしての物珍しさや、びっくりポイントはあまりなかったかな。。でも、そういうこけおどしがないところがこの映画の魅力とも思える。この映画でも名バイプレイヤー殿山泰司さんが出演。いつもとちょっとキャラクターが違うような気がした。(といっても、いっぱいこなしておられるのでいろんな役をされているんだろうけれど。。。)


爛 ただれ [VHS]

爛 ただれ [VHS]