阿修羅のごとく

向田邦子さんの名作ドラマ「阿修羅のごとく」を森田監督がリメイクしたもの。これは、四姉妹の物語で、「若草物語」ないし「細雪」のように、今度は長女をだれがやるのかな、とか前回のとくらべる楽しさというのがあると思います。そして出来の方も。。。

キャスティングは、ドラマで次女を演じた八千草薫さんが、お母さん役を、長女を演じた加藤治子さんがナレーションをされ、せりふやエピソードの使い方などもドラマ版と同じままのものも多く、あのドラマ版がお好きで監督はこの映画を作ったのだろうなあと思われた。ストーリーもドラマをみていたものには、あのエピソードをここで使ったんだ。。要領よくまとめてあるな。。。という感じだったのだけど、多分そこに描かれていないドラマの中のエピソードもバックグラウンドにおいてみているからいいのであって、一緒にみにいった「阿修羅〜」をはじめてみる人には、いろいろなエピソードをあまりほりさげず、軽くたくさん描いた。。という感じにみえたようだった。わたし自身、「あのエピソードのあのあとの展開も描いた方がいいのに。。」と思う部分もあった。

全体に再確認、という感じでドラマを上回る感じではなかったけれど、仲代達矢演じる父と娘の関係は、映画の方がずっと丁寧に描かれていたように思う。ドラマの佐分利信のお父さんは「父」という動かしがたいものは感じたものの、情感という側面はあまりなかったから。。といってもドラマをみていたのは確か中学か高校時代で、「老年の父」というものを今ほどあまり切実にみていなかったのかもしれない。。

八千草薫には、前にないお母さんのかわいらしい魅力を感じたし、ぎすぎすした図書館員の三女役は、前回のいしだあゆみもよかったが、今回の深津絵里もまた違った魅力があった。彼女を好きになる気の弱い興信所の男に中村獅童がなっており、はじめはドラマの宇崎竜童を意識している演技のように感じたけれど途中から彼独特のかわいさがでていたように思う。

まぁだからドラマの世界をもう一度味わうことはかなりできた映画だったんですが、四女の深田恭子はどうかなぁ。。ドラマでは風吹ジュンが演じていて、なんかうらさびしさがうまくでていたけれど、フカキョンはそこの部分があと一歩だったかな。

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この記事は関西どっとこむからお引越ししてきたのだけど、元の記事のときyukkekoさんがつけてくださったコメント

劇場で見たかった!と思いました。
どうしてもドラマの時と比べて見てしまうのですが、大竹しのぶとその愛人、愛人の妻は映画が良かった!仲代父もよかったですね。

ドラマを意識、というより尊重して丁寧に作られていると思ったし、安心して見ていられました。なのでエピソードについては確かに、ドラマを見ていないとわかりにくいだろうという展開がありましたね。。

向田邦子の時代を感じさせる家具調度品にこだわった映画と聞いたことがあるので、これはやはり映画館の大画面で見なければわかりずらいかも、と残念でした。

私のレス

家具調度品や美術はとってつけたような感じがなかったですね。
たまに「この映画はテーマパーク?」と思うような
とってつけた感がある映画があって 
途端にさめてしまうから。。

大竹しのぶのからみの桃井かおり三津五郎夫妻
たしかになんかよかったですねー。
父役もドラマの佐分利信は ほかのときでも
割合何を考えているのかわからない雰囲気が漂う役者さんだな、と感じます。
古い型のお父さん、って感じかな。。
仲代父は、感情が豊かだったような気がします。