街の上で

 

友人の感想をきいて。

今泉力哉監督 2021年。

下北沢の古書店、古着屋、スズナリ、映画撮影などが舞台。店自体は変わったりもしているけれどそんなものの集合体が学生時代には大好きで、東京で社会人をしていたときも勤務後頑張って繰り出したりしていた。愛着がありすぎてフラストレーションに陥るので京都に帰ってきてからは下北沢文化にはあまり触れないでおこうとしていたが、もうそんな時期も過ぎ、今や若い人たちの群像劇を目を細めて観る感じ。それによく考えると、下北沢の空気は今住んでいる京都市左京区に少しだけ似ている。大人にならなくてもいいような空気。いたずらに羨ましがらなくても青い鳥はここに居た。

主人公役の若葉竜也玉三郎みたいな風貌なのに、人間の情けなさも含めて等身大に表現するのがうまく、神経質なのに鈍感、みたいな身につまされる人物を好演。

正しさとか正解とかなく、間違ってるかもだけど懸命に生きている人々が愛おしいタッチで描かれていて、だからって優しすぎる感じでもなく、邦画ってぬるいように言われがちだけど、日本の空気そのままでこういうのもいい、と、とても思った。

品の良い表現なのに、ぶっちゃけたような打ちあけ話がたのしくずっと惹きつけられ、鑑賞後ちょっとした人生の贈り物を得たような気持ちになる作品だった。

ブルーな気持ちの主人公に転機をもたらす女の子の苗字が城定なのも微笑ましい。今泉力哉監督と城定監督よく一緒に仕事しているものな。