青春の夢いまいづこ

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wowow でこの作品のリメイクを観て

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久しぶりに再見。

 

今回放送していた新音声版は倍賞千恵子佐野史郎の声があててあった。

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前回観た時の自分の感想*1を読むとモボの描写、挿絵などのモダンさに感心していたのだが、今回家族と一緒に観て家族が気にするものだから公開年度を調べると、その年昭和7年満州事変の翌年で当時はまだこういうのんびりしておしゃれな空気の映画が作られていたことに改めて驚きと焦りを感じ、また、自分などつい戦前の文化というのはきちっとしているものという先入観を持ちがちだけど就職するなり指摘された「学生気分が抜けない」状況の人って戦前にもいるやんという気安さも覚えた。

そしてリメイクの達者さも再認識。小津のオリジナルではのんきな学生仲間だった男二人に経営者と雇われ人という立場の変化から訪れる葛藤を恋愛話を絡ませて表現、経営者になった江川宇礼雄サイドからほぼ描いていたが、リメイクでは渡辺大知演じる雇われ人サイドから描き現代人が観たらより共感しやすい形にしてあったと思う。恋愛がどうとではなくて上から施されてしまう身分の辛さ。それはそれとしてオリジナルのこれもまた「生れてはみたけれど」に続く「大人の見る繪本」風の幕切れも素晴らしかった。

勉強熱心なのに成績のあがらない生徒役(つまり施され側)に斎藤達雄。斎藤さんは滑稽なところはあっても基本は長身で風格みたいなものもありそのギャップをたのしむ役が多い気がしているもので、この終始弱気路線は自分には新鮮。

仲間として出てくる笠智衆も老け役じゃないそれだけで新鮮で凝視してしまう。

大学の仲間の呑気描写はドラマ「いだてん」の三島弥彦たちの天狗倶楽部みたいだった。