トラック野郎爆走一番星

 

75年 鈴木則文監督

これを観たきっかけは「よみがえる新日本紀行」で長崎くんちが映っていたこと

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祖父母が長崎に住んでいたことから興奮とともに語られる「くんち」はずっと気になっていたところへ「よみがえる〜」でくんちの様々な演し物の苦労を知り、長崎舞台の「網走番外地 望郷編」でもそれぞれの住むエリアのプライドをかける大事なくんちを顔役の抗争のあげく邪魔するというシークエンスが描かれていたな、他にはくんちが出てくる映画はないかと検索してたどり着いたのだった。

サザエさん」でもタイトルロールで日本各地を旅行しているようなものが流れていたり*1この映画のライバル「寅さん」シリーズもだけど、この作品にも日本の各地紹介という要素がある。ディスカバー・ジャパン*2の時代?

そうした流れの中でくんちも含め長崎が長く映り二十六聖人のところのショットなどなかなか良かったけど長崎はメインは風景描写。主人公の仕事柄そんなに深く配送先に関われるものでもない。展開的には道すがら出会った長崎からの出稼ぎ労働者織本順吉のストーリーに少し絡ませてある、その程度の関わり方。

マドンナあべ静江津軽出身にしてあり、太宰や川島雄三の言葉がばんばん使われる。

75年のこの映画、ちょいちょい入る下ネタはまさにあの時代そのもの。鶴光!山城新伍研ナオコ相手に文太さんも。こういう空気充満してたな。

一番光っていたのは、田中邦衛が演じるトラック野郎 ボルサリーノ2。愛川欽也演じる文太の相棒やもめのジョナサンの前職警察時代に恨みをもつ男という設定だがとってもかっこいい。

北の国から」や「仁義なき戦い」でのイメージが鮮烈すぎて邦衛さんがおしゃれと教えられてもピンときてなかったが、若大将シリーズの青大将も三枚目なのに派手な服の着こなしがキマっていたし、今回もまさにボルサリーノ風のスーツや身のこなしがほんと目を引く。田中邦衛さん、観る作品を重ねれば重ねるほど真価が身に染みていく。

邦衛さんの素晴らしさはこの映画前半の下ネタオンパレードを帳消しにするくらいの見応え。

*1:こちらのサイトによると、74年かららしい

*2:こちらは70〜76年らしい