犬王

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一足早く観に行った方々が、音楽に注文をつけておられ、心配しながらの鑑賞だったが、私は満足。

アニメーションスタジオ サイエンスSARUの仕事のすばらしさ、この冬に観ていた「平家物語」のクオリティの高さで実感しており、

「犬王」はストーリー的にも平家の話とつながっており、自分は大喜び。

犬王は、近江猿楽比叡座のもとに生まれた異形のもの。

彼と都で出会い、一緒に活動する若き琵琶法師友魚は、元漁師の子で海に沈んだ平家の神器を時の権力者の意向でひきあげる時、父と視力を失う。

孤独な魂がひきあい、二人の行うパフォーマンスは、芸能の本来の起こりを思わすものだ。神がかっており、荒廃した人々を別次元に連れて行ってくれるもの。

この作品の中ではロックの形でそれを表現していて、それに注文がついていたが、自分はトータルとしての画面からさもありなんと思わせる力が感じられ満足がいった。これぞ良き仕事と思える洗練されたアニメーション。解説にビートルズのことが載っていたが、確かにかぶと虫などそれを感じさせる部分あり。

時の為政者の都合により続けられなくなる研鑽というシーンは、非常に現代的。

一番好きなのは鯨のシーン。アニメ「平家物語」の壇之浦の時のいるかの占いからの発展。ダイナミックで哀しく胸を打つ。