アントニオーニの執筆した小説原作の4話のオムニバスドラマ。1995年。脳卒中で倒れたアントニオーニが製作費調達で行き詰まり、ヴェンダースが製作を手伝い完成したという。(ヴェンダースはプロローグ、挿話、エピローグとある。マルコヴィッチ扮する映画監督の部分かな?)アントニオーニの映画をはじめて観たのだけど、観念的な台詞が多かった。こういう感じなのかな?センシュアルな表現の部分はポルノ的ではなく、ずしっとくる。
最終話に友情出演するマストロヤンニとジャンヌ・モローのシーン、なんと自然で芳醇なこと。何段階も映画が上質になる。ジャンヌ・モローの前にはそれまで若手を見守るようなポジションだったマルコヴィッチも若手にみえた。いつも思うのだがジャンヌ・モローってお愛想笑いとかと対極のひとだけど、それゆえか笑顔が思い切り魅力的なんだよな。
ソフィー・マルソーの第二話は、「ん?雑っぽい女?」という風にみえた。
第三話に出て来たファニー・アルダンは先日観た「三人姉妹」でも感じたが、実存的な説得力がある。
第一話の舞台が美しいと思ったが、アントニオーニの出身地フェラーラとのこと。後のロケ地はイタリアのリゾート港町ポルトフィーノ、パリ、南仏のエクス・アン・プロヴァンスとのこと。撮影はアントニオーニの部分がアルフィオ・コンティーニ。ヴェンダースの部分がロビー・ミューラー。