菊とギロチン

オフィシャルサイト

パンフレットの冒頭に

「自主自立」「自由」という、お題目を立てて映画を作りたかった。
今作らなければ、そう思った。

という瀬々敬久監督の言葉があるのだけど、今の世の中の直したいところがここに描かれている甘粕事件後の空気と似ていて、今を語るためのこの映画という感じがとてもした。

実在のアナーキスト集団ギロチン社と女相撲をからめて物語を作ってあり、実在の人物も多数出てくるが、光っていたのは、女相撲十勝川関を演じた韓英恵「誰も知らない」で、きょうだいたちとふれあう、悲しみをたたえた救いのようなシーンが印象的だったあの少女が、あの時の魂をもってここに居る、という感じ。
あと実在の人物、和田久太郎を演じた山中崇。すごい輝き。一挙手一投足見惚れる。ギロチン社の若者たちより年上で、井浦新演じる村木源次郎と同宿同飯、大杉と親交を重ねた人物だが、一つ時代を経ている、そこからの空気がいい。この方、他の何かに出ておられるときも気になって名前を調べた思いがあるんだけどな・・プロフィールをみていると、『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』(第7話) 偽メレブ役。。。そういえばあれも魅力あった。
ギロチン社のリーダー仲濱鐡を演じたのは東出昌大。彼の資質が生きていたキャスティングかも。ツメの甘さが魅力みたいな・・
その盟友古田大次郎を演じていたのは寛一郎。この作品が俳優デビューだったそう。これまたこの時にしかきっと出せない純粋だけど非力な感じがにじみ出ていた。父親、佐藤浩市の若い時に顔はとても似ている。

海で踊るシーンが印象的。ベースになったものは「百姓ジャンベ」というものらしい。
ロケは滋賀、舞鶴丹後半島
ギロチン社自体の活動は方角はどうあれ新選組の雰囲気とも似ている気が。