人間座 60周年記念公演 水族館

原作アルド・ニコライ 脚色ジョルジュ・ソニエ 翻訳和田誠一 演出山口浩章

チラシより

イタリアのとある都市。
兵役を終えたセレスタン・ヴィオラは、母親、姉夫婦と質素な家で同居している。
仕事に就かず、小さな水槽を眺めてばかりのセレスタンだが、義兄の勧めに従い役所で務めることになる。

生き辛い人間関係の中で
不器用なセレスタンの鬱屈は募るばかりである。

本日の公演のパンフレットの、演出家山口浩章氏の文章によると、原題は「水の世界」1963年のウィーンもしくはレニングラードでの公演が初演とされ、その後多くの国で上演され、スウェーデン版のタイトルは「タツノオトシゴ」(これ、よいタイトルと思う。)、フランスでジョルジュ・ソニエが脚色し、「水族館」と改題されたものが今回の上演テキストとのこと。

昨年の人間座公演*1安部公房だったが、今年の作品もちょっと安部公房テイスト。
90代の父は楽しくこの舞台をみることができたよう。20代の時なら私も安部公房風のおはなしをおはなしとして愉しめたのだけど、今や主人公のつらさがリアルに感じられ、おはなしですませられない切実、なんとか救ってやってほしいという祈りのような心持ちでみてしまった。

魚の好きな主人公の夢は漁師。まるで「魚影の群れ」*2
劇団ZTONの門石藤矢さんという方演じる無垢な主人公をみていると、先日観たワイダの映画「ナスターシャ」*3も思い出してしまう。

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