足尾銅山事件と田中正造は歴史でさらっと習ったのみの知識。先日三國さんの「にっぽん泥棒物語」*1を見て、引き続き熱い三國さんをみたくなってレンタル。
撮影監督宮島義勇氏。去年「裸の太陽」*2という国鉄の機関士の映画をみたとき、宮島氏の撮影に触れ、「西の宮川、東の宮島」という言葉を知ってお名前を覚えたのだけど、この映画でもふいにおもしろい方向から人物をとらえてみたり、まるで植田正治の写真をみているようなとてもモダンな画づくりが多々ありそれも堪能した。
最初いきなりすごい数の陳情隊のシーンで、少しのまれるが、中盤その陳情隊の足並みが揃わなくなり、切り込み隊長的な人物（若き西田敏行氏）の母親、原泉さんが生活に根差したリアリズムトークをはじめるあたりから見やすくなった。
「吉村公三郎 人と作品 映画は枠（フレーム）だ！」という書籍の中の佐藤忠男さんの選ばれた「吉村監督作品24選」の中にこの作品が入っているのだけど、そこに、最後の方に描かれている村の土地の強制収容のシーンについて
この農地の強制収容の場面は、当時進行中の成田空港建設反対の三里塚の農民たちの闘争を直ちに思い起こさせるものであり、この映画に三里塚闘争支援の作品としての性格を与えている
と書かれている。「民を守るための憲法」という言葉などとあいまって、とても今日的なことに通じているものを感じた。
☆のちに、この映画の撮影は三里塚でなされたことをきき、詳しくその事情が書いてあるサイトも読んだと思うのだけど、とりあえず、今wikipedeiaにそのことが載っていたのでリンクを貼っておく。
☆この映画を観て、なぜ田中正造は議員を辞めてしまったのだろうかと思っていたが、2021年1月に、田中正造の評伝の書評を拝見し、そういう事情だったか・・と腑に落ちた。
- 発売日: 1988/06/25
- メディア: VHS
- 作者:吉村 公三郎
- メディア: 単行本
