ギケイキ

今まで橋本治さんの「双調平家物語*1の中でも、また歌舞伎の舞台に出てくる義経にも特に魅力は感じなかったのだけど、これを読んで初めて義経に親しみを感じた。町田さんの描く主人公は「告白」であれ「宿屋めぐり*2であれ、めちゃくちゃしていてもすごく魅力を感じてしまう。サブタイトル「千年の流転」っていうことで、義経伝説的な流れも感じさせる、義経が現代も存在している体にもなっていて、現代風に物事を語っているから理解しやすいというのもあるけれど、それだけじゃなく、町田さんの構成力、語り口のうまさゆえ惹きつけられるのだと思う。義経の旅は始まったばかりという書きっぷりが青春のロードムービー風でとてもいい。読み終えるのが惜しいくらい義経の話をきいていたい気持ちになった。

ギケイキ:千年の流転

ギケイキ:千年の流転