綱大夫四季

巻頭には永六輔さんの口上、

外函にも味。


生田家の家紋 丸に十。息子さんの咲大夫さんが名前をもらわれるときの逸話で出て来る紋の話ともつながっていて趣深い。


山川さんによる絵。

など、凝ったつくりになっている。ソフトカバーの本は読みやすくていいけれど、こういう函に入ったしっかりした本もまた楽しみがあるな。

去年の秋、文楽に行くことになり、文楽鑑賞の先輩である友人にすすめられ、文庫版になっているのを図書館で借りて読んでいたのだけど、読み終わる前に返却期限がきてしまい中断。
家の棚をみたら、この昭和に出た版があり再トライ。去年の段階では知らなかったけれど今読むとわかる演目などがあることがうれしい。

文楽に行くと、つい字幕に首っぴきになってしまい、下手するとまだ語っておられないのに先に文字で読んで笑ってしまうところなどがあって情けないのだけど、できるだけ生の浄瑠璃をきいてちゃんと反応できるようになりたい。まだまだ話の筋を追うような段階だけど浄瑠璃についても三味線についてもいいとか悪いとかききわけができるようになれればいいな。
「冬 寺子屋芸談」のコーナーで、人々が悲しむ場面で、三味線の調子があがって派手になることが書いてあるのだけど、あの感じすっきりしていて大好き。小津安二郎の映画でも、悲しい場面で明るい曲がかかるけれど、いいセンスと思う。

文楽をみにいくときのヒントになることがいろいろと書かれていた。御簾内のこと、口上の人のこと、送りのこと。。。
文楽の世界を描いた小説としてあがっている有吉佐和子「一の糸」、梁雅子「恋人形」、瀬戸内晴美「恋川」。。今度読んでみようかな・・

綱大夫四季 (1974年)

綱大夫四季 (1974年)