国立文楽劇場 平成27年錦秋文楽公演

第一部
太平記白石噺
桜鍔恨鮫鞘
団子売

第二部
玉藻前曦袂

定期的に文楽に行くようになって多分4年目になるのではないかと思うけれど、ようやっと筋を必死で追うというのでなく、浄瑠璃をききにきているというような気持ちになれている気がした。ちょっと英語圏に旅行に行ったときあるときから一つ一つの単語の意味を探るのではなくて、全体で何を話しているのかわかるような気持ちになったあの感じと似ている。
わかりやすいだしものだったというのもあるのかな。とにかく、とても楽しめた。

特に、第二部「玉藻前曦袂」の最後「化粧殺生石」。勘十郎さんの大奮闘。一人で何役もの早がわり。その前の「祈りの段」での最後の派手な幕切れもよかったが、勘十郎さんが喜々としてダイナミックにキツネにとりつかれた玉藻前を演じておられるのがとても伝わって、良い舞台を拝見したなあとの思い。これは歴史に残る舞台なのでは?

あと第二部では「道春館の段」がとても迫力があり満足感。

今回幹部級の方の出番は絞られていて、若い方がどんどん前面に出られている感じもある公演だったが、第一部の「桜鍔恨鮫鞘」での蓑助師匠の女房お妻、動きが繊細で可憐であった。

楽しかったのは、「碁太平記白石噺」の「浅草雷門の段」。大道芸人のどじょうの調子に乗っているさま。寛治さんの三味線姿がまた美しい。

美しかったのは「碁太平記白石噺」の傾城の部屋。部屋の入り口ののれんの桃色の麻の葉模様とブルーの組み合わせがとても華やか。文楽や歌舞伎の模様や色彩のあわせ方にとても興味がある。