柔らかい肌/二十歳の恋 アントワーヌとコレット

先日やっとこさトリュフォーのアントワーヌものに目覚めた私。*1第二作「アントワーヌとコレット」が「柔らかい肌」と一緒のビデオにはいってるもので同時にみたが、両作品とも今更いうのもおこがましいがうまい!堪能した。ヌーヴェルヴァーグの恋愛ものとか自分と遠いもののように思っていたのだけど、人物の機微の表現がすごくて、よくわかって楽しめる。
「柔らかい肌」の、主人公ピエールの自分中心な発想、いらいらするほどわかる。ピエールを見ている恋人の発言の正鵠を射てること!そして妻の論理。愛情を求めるがゆえにの矛盾にみえるような行動がものすごく納得がいくし、若いころにみてその時はお話の世界のこととして鑑賞した「隣の女」とかも今見たら違った気分になりそう。題材はシリアスなのに語り口がとてもみやすい。
主人公はバルザック研究もしている文芸評論家だけど、「大人は判ってくれない」でも、主人公がバルザックに感銘を受けてバルザック調で文章を書くシーンがある。調べてみるとトリュフォーバルザック愛好家だったらしい。「二十歳の恋」の方でもユゴーの話がこどもは大学なんか行っても仕方ないって考え方のお父さんの口からさらりと語られるのだけど、本当はこの辺の原典にあたっていきたいと思っている。
二十歳の恋」は自分から見たら娘や息子世代の話で、これまたかわいらしい。引っ越し先で壮大なクラシックをかけて窓から外を見るアントワーヌ。その気負いが魅力的だし、パリの風景にぴったりで作品に気品を与えている。「柔らかい肌」でも二人の時間を表現するのに二人がさげた御膳にやってくる子猫を使ったり、画面作りがとても魅力的だった。
「大人は判ってくれない」でつるんでいた友達のルネが出てきて二人で回想するのも楽しいし、ほほえましい。ほんとにこどもをみているよう。そして、ここでしめくるんだ!と思うラスト。シリーズの続きも見よう。

☆「柔らかい肌」は10/31wowowで放映あります。