座頭市二段斬り

 

座頭市二段斬り [DVD]

座頭市二段斬り [DVD]

  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: DVD
 

座頭市シリーズ、たくさんあって、手の付けように困る感じだが、ふや町映画タウンの三木のり平の出演作品一覧(総じて主な作品だけが抽出されている)に載っていたので借りてみる。

f:id:ponyman:20210116115539j:plainのり平さん、確かに特記すべき役柄。いつもより渋さも備わり、守るべきものがいる心の演技が、普段お得意のちょっと狡いような調子いいような持ち味とうまくブレンドされ、よい作品になっている。

守るべき対象の彼の娘を演じたのは

f:id:ponyman:20210116115902j:plain10代前半の小林幸子氏。もちろん歌う場面も長くあり、達者。

f:id:ponyman:20210116120120j:plain用心棒役の加藤武氏の精悍なこと!「悪い奴ほどよく眠る」(1960)*1以来、加藤氏のお若い時かっこいいじゃないかと思っている。1929年生まれでいらっしゃるので、前者が31歳くらい、こちらは36歳くらいかな・・ 

ビデオジャケットの野沢一馬氏の解説によると、こちらはシリーズ10作目で、「新風を吹き込もうと、今回は監督に井上昭、撮影に森田富士郎のコンビを初登場させ、手持ちカメラでの斬新な映像や、殺陣にも工夫を凝らしている。脚本は、シリーズの生みの親でもある犬塚稔。」とのこと。撮影も確かに凝っていて思わぬ角度から撮ったりある時にはノワールな雰囲気が漂ったりして面白かった。

女衒

 

女ZEGEN衒 [DVD]

女ZEGEN衒 [DVD]

  • 発売日: 2004/05/21
  • メディア: DVD
 

裏「サンダカン八番娼館 望郷」。人身売買の経営者側の人間が主人公という昭和!今村昌平!という感じの作品で「この主人公村岡の主張そのままでは今の時代を生きるのはキビしそう。。」と思いながら観ていたが、なんだか村岡の姿を滑稽さと真摯さと悲哀をまじえてうまく描いておりいやな感じがしなかった。演じきった緒形拳の九州の言葉がナチュラルに聞こえるし大層愛すべき感じ。緒形拳の魅力も大いに影響を与えている。

彼が愛した女性を演じた倍賞美津子がまたいい。村岡のロマンチストぶりをうまく凌駕する愛すべきリアリスト!その対比がたびたび出てきてなんかイカす。どのシーンもとても魅力的でこのストーリーにぴったりハマる。

予想外の爽やかな気分になった。

サニー/32

 

サニー/32

サニー/32

  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: Prime Video
 

怪作。白石和彌監督って凄惨なシーンをドライに撮って面白さをにじませたりするのはすごくうまいと思う。物事がカタストロフ方向に行ってる時はばかばかしくもこういうことあるかもという妙な説得力もあり時代性もありとても力強いのだけど、この映画は映画内の状況がうまく運んでいる時、なんだか鼻白む瞬間があった。秋元康傘下の主人公故?秋元系の人材だからって頭ごなしに貶めるのはよくないのだけど。主人公の前に立ちはだかる門脇麦氏はすごくよい。むしろ二役とも門脇麦でも良いように思う。混乱するか。。ピエール瀧は日本のソン・ガンホみたいにもなれそうと思う。早く復活してほしいな。

ある上院議員の情事

 

ある上院議員の情事 [VHS]

ある上院議員の情事 [VHS]

  • 発売日: 1988/06/24
  • メディア: VHS
 

 「ヒッチコックのファミリー・プロット*1で、ブルース・ダーンとおもしろカップルを演じ、なかなかかわいらしかったバーバラ・ハリス目当てで鑑賞。この映画ではリベラル派の若き上院議員の妻。夫は表面や理論上では妻の個性や女性のことも敬っているが・・という皮肉をもろかぶりする役。なかなか良いところをついている。脚本と主演はアラン・アルダ。この少しあと額が広くなってからウディ・アレンの映画(「重罪と軽罪」や「マンハッタン殺人ミステリー」など)に出ていた人だと気が付き嬉しくなる。当時この人いいなあと注目していた。

驚いたのは、妻のカウンセリング体験が、隠さなきゃいけないことのように語られることだ。ウディ・アレンの映画などで精神分析シーンを見慣れていてアメリカのある階層にはごく日常と思い込んでいたのだが、こと上を目指す上院議員の危機管理ということではそれもひっかっかってくるのか・・

ラスト・ムービースター

 

ラスト・ムービースター(字幕版)

ラスト・ムービースター(字幕版)

  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: Prime Video
 

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」*1の余韻でこの映画を観ようと決めた後、「ワン・ハリ」のディカプリオはバート・レイノルズがモデルと知り、バート・レイノルズが役名は違うにしろ過去の仕事をなぞりながら進む本作はズバリ関連作品の鑑賞という感じになった。

「ワン・ハリ」の映画としての工夫に驚かされた後なので、くらべるとおとなしい印象だが、バート・レイノルズと行動を共にする若手のアリエル・ウィンターという女優さんがとても魅力的でもちろんバート・レイノルズのすっかりいぶし銀になった演技も良く、シニアあるあるの描写なども含めて楽しめた。バート・レイノルズ扮する往年の映画スターがオタクの主催する小さな映画祭に招待され、立派な映画祭と勘違いして出かけていくが・・というストーリーだが、小さな映画祭に集う映画オタクたちはとても身近な空気に満ちていて、主催者は町山智浩氏の若い時を平和にしたような感じでなかなか楽しめた。

バート・レイノルズの友人役チェヴィー・チェイスが色を添え渋い味。名前だけきいたことがあるが、「サタデー・ナイト・ライブ」で有名な方らしい・・

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (字幕版)
 

 映画の夢の幸せに浸れたすばらしい作品。シャロン・テート事件を知っているといないとでは映画の理解がずいぶん違うという意見を公開時みていたが本当にその通り。

詳しい情報は仕入れずにみたもので、まずアル・パチーノの愉快そうな出演に喜ぶ。いいね、怪しげなプロデューサーだか口利き屋だかなんだか。

ディカプリオの終盤の変貌も遊び心いっぱいで良いし、ブラッド・ピットも魅力的。ディカプリオ×子役のシーンも、子役からやってきたディカプリオが過去の自分に語り掛けているかのようにもみえ、こういうシーン本当に好き。

全編映画愛に溢れ、すばらしい選曲。音楽の選び方で胸が締め付けられそうになったりも。そして素晴らしき伏線の回収!どえらいシーンなのに笑ってしまう。タランティーノ映画はどれもそうともいえそうだけど、自分には大好きな「デス・プルーフ  in グラインドハウス*1といとこ関係のようにも思えた。

今とっても気になっているブルース・ダーン*2も御出演。

シャロン・テートに扮していた女優さんがポランスキー監督の「ローズマリーの赤ちゃん」をなぜか思い出す黄色い衣装を着ているシーンがあるのも印象的だった。

ブルース・ダーンつながりの2本

昨年末観た「ヒッチコックのファミリー・プロット*1ブルース・ダーンのいかがわしくも愉快な熱演が楽しく、他の出演作も追ってみた。

 

 まずは「夕陽に立つ保安官」(69年)

f:id:ponyman:20210104130625j:plain
ビデオパッケージがこの映画の雰囲気をとても表している。一通り西部劇の時代を経た後の二次創作的コミカル路線。

ブルース・ダーンは無法者ダンビー一家のばか息子の役で、力の抜けた感じ、間が抜けているけれど本流とは違うところに身を置いている雰囲気がとても良い。ニコラス・ケイジとかエリオット・グールドとか、そういう系譜の香りを感じる。

ブルース・ダーンの父親や町の人たちは1940年代や50年代に作られた西部劇に必ずや登場した面々らしい。ウォルター・ブレナンジャック・イーラム、ハリー・モーガン・・。みんなとぼけた味でいい感じ。元の作品も観たいな。

ふや町映画タウンおすすめ ☆ (ちょっとオススメ!)

 

そして、「ブラック・サンデー」(1977) 

 

ブラック・サンデー (字幕版)

ブラック・サンデー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

こちらは、ふや町映画タウン おすすめ☆☆(けっこう、オススメ!!)

スーパー・アクション巨編と銘打たれ、アラブゲリラだとかイスラエル特務機関だとか、あらすじを読んでいるとついていけるか不安になったのだが、その分野に全くもって疎く、アクションに関心のない自分にもすごく面白く観れる力量。複雑な話をテキパキとわかりやすくみせる。ブルース・ダーンはゲリラ側につく元退役軍人パイロットだが、その経験ゆえの技術力とやるせない魂をうまく表現している。そして対する少佐、ロバート・ショー。対テロリストの仕事っぷりが魅せる。なんというか、政治ショーなどをいまいましく思いつつ粛々と任務を遂行するところがストイックだし、見せ場のアクションもどこからスタントだか、特撮だか知らないがとにかく凄く、もうハラハラのし通し。迫力のある画作り。この分野好きでもない自分がこれだけ集中できるというのはほんとに大した作品だと思う。セミドキュメンタリーっぽい撮り方、幕切れもシャープで素晴らしかった。