「Hなえっちな変態SMクラブ」(87)「あなたがいたら 少女リンダ」(87)

「Hなえっちな変態SMクラブ」(テリー・ジョーンズ監督 87年)

紹介するのも憚られるようなひどいタイトルとビデオジャケット!なんという売り出し方。。

「あなたがいたら 少女リンダ」(87)という公開当時なかなか人気のあったイギリス作品と対になる作品だとこちらで読み借りたこの作品、ジャケットに書いてあるような、扇情的なものではなく、むしろ常識を笑いのめすってタイプのもの。

 

「あなたがいたら〜」の方は、

イギリスの静かな海辺の町でなんや逆らいたい16歳の少女リンダを描き、傷つきながら自分はどうしたいんだって探っていく彼女の姿がどんどん魅力的にみえてき、イギリス映画らしい、抑えた美しさ、ビターだけどそこで生きていく空気に好感を持つ、DVD化を待ち望んでいる方々も多い作品だった。

そして「Hな〜」の方、これは「あなたがいたら〜」と同じ女性がモデルの後半生の話。「あなたがいたら〜」の監督 ディビッド・リーランドが脚本担当。もともと一本の映画のつもりで書いていた娼館マダムの一代記が前半部分だけで長くなり少女時代を「あなたがいたら〜」の方にまとめたという。なので、あのリンダが大きくなってこうなっているのね、という感じに自然にみえる。

娼館というと高林陽一監督の「赤いスキャンダル・情事」*1なんかも思い出したのだが、「赤いスキャンダル〜」ではそこに関わることになった主人公の後ろめたさみたいな感情がベースになっていたのに対し、こちらではもっと堂々としていて、公益事業みたいな気持ちを持っているし、部屋の又貸しから始まってとにかく経済活動回していく姿がユーモラス。しょっぱなあけすけな会話が連呼されるが、ひとつのクライマックスともいえる妹の結婚式での騒動は端々の英国風が色を添え、随分スカッとするものだ。表面から内面へ、の流れは「あなたがいたら〜」とも共通。利用者である社会的には立派なシニアたちも可愛らしく描いてありジャケットのくだらなさをはね返す後味の良い作品だ。もったいない。