大奥マル秘物語

 

1967年 中島貞夫監督

小学校の頃なんとも禁断の香りが匂い立っていたテレビの「大奥マル秘物語」。実際に見る機会は与えられず大人の香りのみ嗅ぎ取っていたあの番組の元の映画がこちら。直接的な表現はあまりないが扇情的に作ってある。最近のNHKの「大奥」やよしながふみ氏のその原作に比べると上様はただただ気に入った女性にお手をつけられるばかりで人間的な苦悩や女性との相互の気持ちのやりとりというのは描かれない。

気持ちのやりとりが深く描かれるのは女性同士。その中でも二話目の岸田今日子のエピソードは内にこもったような情念がこぼれ落ち、カメラも美しくなんとも心に残る。

しょっぱなのストーリーでは、俊藤浩滋プロデューサーのお嬢さんだから踏み込んだ役ではないだろうなと思っていた藤純子が上様に呼ばれたりその後の展開も少し意外。とはいっても初々しくも彼女の魅力を印象づける良い役ではあったと思う。

山田五十鈴が仕切り役。色っぽい事柄も扱う管理職って役回りがぴったり。

京都の知恩院近くの一本橋の風景も映っているように思った。