兵隊やくざ

 

1965年 増村保造監督。

軍隊ものかーと躊躇する心を見透かしたような戦争や軍隊なんてまっぴらという冒頭の田村高廣のことば。あれでまずひきつけられる。

こんなことあるか?と思うような調子の良い展開もあれど、調子良いところ以外は割合かっちり描いているからこういう話もアリか、おはなしに乗ろうじゃないかと楽しめる。時間も1時間42分とダレない。

とんでもないことを仕出かすけど主人を守るむく犬のような勝新太郎、その暴走を理論武装で援護射撃する指導係の上官、田村高廣。それが依怙贔屓とかイヤな感じにはならず、おかしみに感じるのは田村さんの気品そして勝新の愛嬌ゆえか。「暁の脱走」*1(1950)とかハードな軍隊ものとは作られた年代の差かテイストが随分違うが生きる力に満ちていてなんだかいい。

勝新演じるのは元浪曲をしていた男。ちょっと唸る浪曲がなかなかいい。長唄三味線のおうちに生まれ、本人も長唄の名取だったりするからだろうな。*2慰問で出会うお師匠さんが山茶花究。画面が締まるよいシーンだった。