ブラック・レイン

 

またまた有名すぎて鑑賞に時間がかかった作品。先日ETVの「ワルイコ集まれ」で松田優作のことを取り上げていた時、いかに彼が遺作となったこの作品で壮絶な演技をみせたかという話が出ており、みてみなければとなった。あと、美しかった梅田阪急百貨店のコンコース*1も映っているということを知ったのも最近でさらに興味が湧いた。

公開から観るのに時間がかかったのはハリウッド映画の描く日本ということで警戒心が起きていたのかもしれない。しかし、今まで観てきたその手の映画*2の中ではダントツに違和感がなく、よくできてるなあと感じさせられた。がちがちの日本の警察組織とNYから来た刑事たちの邂逅。。高倉健もとても魅力的。特に最初のおかたい警察姿がなかなかいい。

マイケル・ダグラス演じる刑事と彼が追いかける松田優作の共通点など面白い。ちょうど自分の影を追っているような。。「ブラック・レイン」ってタイトルも井伏鱒二の作品とややこしい、なんて思っていたが、ややこしいんじゃなくまさにそのもの*3であって、想像を遥かに越えるきちっと練られた作品だった。

マイケル・ダグラスとコンビを組む若き刑事にアンディ・ガルシア。彼の魅力が後半への勢いになっている。

松田優作の登場シーンからの不敵さは強烈な魅力だった。ショーケンの自伝*4を読んだとき、ほんとは自分のところに来た話なのに。。的なことがかいてあったり松田優作は自分からかなり学んでいるみたいな匂わせもあったが確かに似た空気のところもあった。あの本はとても面白かったけれど、あそこの部分はどうだろう。。そんなことを書くところがまたショーケンって感じもあるかな?

wikipediaには若山富三郎が演じた旧来のやくざの親分に小林桂樹という想定があったとか書かれている。若山富三郎ならごく自然のシーンであったが、桂樹さんなら桂樹さんで意表をつく面白さがでたかも。(桂樹さんファンとしての意見)その他まぼろしの配役についてあちこちで目にするるが、それだけ日本でも盛り上がっていたのだな。

内田裕也が冒頭面白い活躍をするのだけど、怪しさと地味さの加減が絶妙!

大阪の姿はエキゾチックが強調され西洋のカメラを通したらこう映るのかという楽しさがあった。だけどなんだこれ、というようなところはなかった。

*1:残念ながら今はもうないが伊東忠太建築の味わえた場所。手塚治虫氏の足跡を辿るサイトに詳しい写真が→旧阪急梅田駅コンコース |

*2:「ザ・チャレンジ」だとか「SAYURI」だとか

*3:つまり、アメリカの持ち込んだ厄介なものとして若山富三郎が語る

*4:ショーケン - 日常整理日誌