蘇る熱球

 

少し前に橋田壽賀子ドラマ「夫婦」がNHK BS プレミアムカフェで再放送されていた。橋田壽賀子の描く世界、食わず嫌いが強かったし、その「夫婦」にしてもテレビをつけたら目に飛び込んだ芦田伸介の姿に観始めたものの子どもが独立した後の山岡久乃が愚痴だらけで、立場も自分と似ているものでなんとみっともない、そしてキツい、とみるのがイヤになったりして一瞬とめる。ラストはカタルシスがあるとtwitterで読んで、最後の日の分(二話分)はちゃんとみたら、山岡久乃の実家の母役村瀬幸子の台詞が大変良かった。同居していく上での心得。まずは相手の身になれ。

村瀬さん、「八月の狂詩曲」のメーキング*1でも黒澤監督の注文にへいこらするわけでなく対等な感じで話をきいている姿が素晴らしく、「夫婦」の方も村瀬さんのすばらしさで救われた感じがした。「夫婦」のストーリー上でも村瀬さんとの話し合いから山岡久乃が舵を切る。。。

と、だらだら橋田壽賀子ドラマの話を書いたが、この「甦る熱球」、ジェームズ・スチュアート演じる実話を基にした野球選手の物語だが、地方にいてスカウトされた時も地に足ついた農業が一番とプロ野球なんて浮ついた世界に行くことをよしとしない堅実な母親が出てくる。スカウトともどもの努力の末、プロ入りのきっかけをもらう運びなのだが、感心したのは、そのあとこの母親が息子の結婚とかでいらぬ口をはさまないし、同居となっても偉そうにするわけでなし、その後結構なピンチに本人が至るのだが、心配すれど、結局は息子に任せるしかないと腹を括っている。必要な助言が済んだら自分の仕事に戻る感じ、万事がこの母親像のようにすかっとした物語である。

半分見放されたようなスカウトマンが彼を見出すのがスカウトマンとの二人三脚が微笑ましい。妻になる人との素朴な交際スタートも。

最後の展開はちょっと急ぎすぎの感じもあったが、「アメリカの良心」そのもののようなジェームズ・スチュアートならいろいろ小賢しいことをいいたくなくなってしまい、全面肯定したくなってしまう。