あゝ決戦航空隊

「貴様」なんて言葉が連呼され、つくりがわりとガチガチの軍隊調、しかも個人的にどっちかといえば苦手の鶴田浩二が主演ということで、ちょいと観るのに努力を要した。

もともとなぜこの映画を観たかというと「日本の首領」*1なんかを観たとき児玉誉士夫のモデルとされるフィクサーが出てきたりして、昭和の終わり頃ロッキード事件の時など名前はきいていたがちゃんとは知らないものでとっかかりとして彼の出てくる映画一覧に挙げられていたこちらも手に取った次第。タイトルロールの脚本協力のメンバーの中にも彼の名前が出てくる。

特攻隊のはじまりから終焉、そこに関わった大西中将を鶴田浩二を主役に据えて描いたもので、「日本のいちばん長い日」*2でも終盤近く気になる動きをする厚木航空隊の話も出てくる。そして大西中将と近い存在としての児玉誉士夫と児玉機関のことも。

脚本は「仁義なき戦い」の笠原和夫。「仁義なき〜」にも通じる、損害を出し、責任を担うのは現場ばかりというタッチではあり、シナリオの宣伝タイトルは笠原が「日本映画初の天皇制批判」と付けたとwikipediaには載っている。(作品への批判も含め読み応えのある記事だった。)

ラストに大西中将が自決した南平台の官邸の撮影当時の様子が当時の渋谷の風景とともに出てくる。私にはそれがとても貴重な映像にみえた。どうやら今は東急本社や高層ビル群に変貌している辺りらしい。

冒頭自分の生活圏にある京都大学人文科学研究所が外地の施設として出てきたのには驚いた。

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コロニアル建築だし東映京都製作だしなるほどなあ。