冬のアラカンさん祭

ラカンさんの映画を二本鑑賞。

中川信夫監督「私刑(リンチ)」(1949)と丸根賛太郎監督「右門捕物帖まぼろし変化」(1954)。

 

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驚いたのは、中川信夫監督の「私刑(リンチ)」。なんとも凄惨なタイトルだが、アラカンさんの人間的魅力が溢れとても楽しめた。奉公人ではあるが、洒脱なアラカンさんが悪い連中のせいで追い込まれ、途中アル・パチーノの「カリートの道」を観ている時のごとき祈るような気持ちでハラハラと鑑賞。

ラカンさんが自動車を運転したり、ミシンをかけたりなどというシーンもあり、走るアラカンさんはあれど剣を振り回すところはなかったから多分チャンバラ禁止令下での姿だったんだろうな。中川信夫監督作品*1でよく感じる温かみやユーモアも漂う。

右門捕物帖 まぼろし変化」の方はチャンバラ劇としての楽しみがあった。「網走番外地」や「ダイナマイトどんどん」という後年のアラカンさんから漂う飄々とした空気からアラカンさんを好きになった自分だが、時代劇の本などを読んで、最近はアラカンさんの立ち回りの美しさとか身体的な動きに目がいくようになった。歌舞伎の舞台での見せ場のような楽しみ方。

こちらでは右門のライバルあば敬に戦前の小津安二郎映画の喜八おとっつあん、坂本武。

f:id:ponyman:20210202165817j:plain髷を結った姿、珍しく感じた。