万引き家族

 

 是枝監督の映画は好きで割合みているのだけど、カンヌのパルムドールを取った作品ということでちょっと観る前に身構えてしまった。けれど、いつもの入り込みやすいタッチだった。しょっぱな万引きのシーンだし、万引きGメン系の映像の文脈でいうとつかまえるべき存在という感じからのスタートなのだけど、心の揺れの描き方がすごく自然で、登場人物の背負っている傷がくっきりわかり、優等生的な解決ではない生き方もあるさ、でもその中に尊さもあるさという気持ちになる。男の子の力を秘めた目の魅力、「誰も知らない」柳楽優弥を彷彿とさせるものがある。雑貨屋のおじさんを演じる柄本明の引き算を感じさせる演技も良かった。

是枝監督の集大成といわれていたが、(そんないいかたをしたら終わりみたいでもう一つだけど)、確かに「誰も知らない」や「そして父になる*1「三度目の殺人」*2などとつながっている感じがとてもした。