人形有情

吉田玉男さんの芸談聞き書き。先日古いビデオをみていたら玉男さんの特集が録画されていて、わかぎえふさんなども玉男さんがとても好きということで出てこられていたけれど、この本にも玉男さんのお茶目な感じの人柄などもにじんでいる。

何度か文楽に行ってから読んだので、どのだしもののどの人物を演じるときには・・ということが、なんの話か具体的にイメージできてよかった。頭の角度やら手のおきかたやらそういう工夫がなされているのか・・と、これからみにいくときちょっと見方がかわりそう・・人形の気持ちになってしまうのでなく、人形の置かれている立場をちゃんと表現するというスタンス、おもしろい。とにかく、上手と思う人についてやり方を盗んでくるというところ、職人さんの話でよくきくが、玉男さんもおっしゃっている。参考になる。

おもしろかったと思ったのは御贔屓筋の奥様が人形の所作で、これはあの身分の女の人はしないなというようなこと(針仕事の時糸を歯で切るというようなことはちゃんとした奥方はしない、というようなこと)を訂正されて、なおされるところ。御贔屓筋というのは芸を育てる人なんだなと。

人形有情―吉田玉男文楽芸談聞き書き

人形有情―吉田玉男文楽芸談聞き書き