浅生ハルミンさんがあちこちの雑誌に発表されたものをまとめたもの。古本屋さんでアルバイトしておられたこともあり、古本と古本を愛する人のための雑誌「彷書月刊」に載っていたものも多く、映画版の「私は猫ストーカー」で描かれていた、原作にはない主人公の暮らしぶりというのはこういうものに書かれていることを参考にしたのかなと思われる。日常のおもしろいものに焦点があう飄々とした視点、でも老成しすぎてない感性。ゆったりするけれどどこかスパイスもきいていて辛酸なめ子さんのものを読んでいる時のような皮肉&自嘲的な目線もありなかなか楽しめた。ふわりふわりと散歩しながら語っているような文章がいきなりはい、これにて、とどこかへ姿をくらます感じは猫をおいかけている時のような気分にもなる。
最後にハルミンさんの好きな猫ものの本のリストがある。昆虫学者が自宅のマンション猫を観察したジョルジョ・チェッリの「猫暮らし」に興味を持ったものの、翻訳もののこういう本はいりこめるかな、とも思う。武田百合子さんの評判は常々きいていて読んでみたいなと思っているのだけどここに紹介されている「日々雑記」での猫の描写も楽しい。
- 作者: 浅生ハルミン
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
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