チェコアニメ新世代Ⅱ

チェコアニメ新世代(2) [DVD]

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チェコのアニメって旧世代の人たちの撮ったものは、造形的には愛嬌と陰影を兼ね備えたすばらしいものなのだけど、お話は政治的な背景からか、しゃれにならないほど厳しいものが多かったりして自分にとって体力のあるときにみよう、と思うようなものになりつつあったのだけど、今回みたアウレル・クリムトの作品はほどよい影のさす楽しい造形でストーリー的にも、難解なほど厳しすぎる、とかではなく、とても楽しめるものだった。

冒頭におさめられた「マシュキンはコシュキンを殺した」は、不条理で笑っちゃうような感じもあるのだけど、なんだか不気味だし、この作品にもほかの作品にも時々出てくるロシアやソビエトの表現に政治的なものも感じ、タッチは軽くなったにしても従来のチェコアニメの伝統を踏まえているような気配もあったが、西部劇のパロディー「ブラッディ・ヒューゴ」をみたとき、年代的には旧世代なんだけど、「こんなタッチもチェコにはあったんだ!」と以前すごく感心したオルドリッチ・リプスキーの「レモネード・ジョー」を思い出し、文化的にも距離的にも離れているであろう西部劇を素材にしておもしろい作品にしてしまうチェコの人たちのセンスってはかりしれなく愉快だな、と思わされた。ナンセンスギャグに走らなきゃやっていけないような状況もあったのかもしれないが、必要に迫られて、とぎすまされたものになりお家芸にまでなっているような気配も感じたり・・

レモネード・ジョー 或いは、ホース・オペラ [DVD]

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「魔法の鐘」「フィムファールム」「怖いもの知らずのフランタ」は、おとぎ話風だけど、奇想天外なストーリー展開で、ラストの着地点の後味もよく、すごく気に入った。「魔法の鐘」の映像どこかでみたと思ったら、エスクァイヤマガジンジャパンから出ている「チェコアニメ新世代」の本の表紙に使われているのだった・・↓なんか、いいタッチでしょ!

チェコアニメ新世代

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